アルファ・ロメオ・ミトTBツインエアー・ディスティンクティブ
公開 : 2013.10.30 20:50 更新 : 2017.05.29 18:24
■どんなクルマ?
フィアット・グループのツインエア・エンジンの最新版は、2014年型の改修の一環として、少しリフレッシュされたアルファ・ロメオ・ミトに搭載される。
新しいエンジンは以前の85bhpのユニットを置き換えるもので、0-100km/hのタイムを1.1秒短縮している。目玉となるパワーは103bhp/5500rpmだ。標準装備のDNAシステムをダイナミックモードに設定した時、2000rpmで14.8kg-mのトルクを発生する。DNAをナチュラルモードに合わせるとパワーは97bhp、トルクは11.9kg-mまで減少する。
アルファによると主要な変更は吸気側のカム・プロファイルの変更であり、エンジンは再循環して燃焼室に流入する排ガスの量をよりうまく調節できるようになった。
CO2排出量は1g/km増加した99g/kmだが、公称燃費は23.8km/ℓを保っており、ユーロ6のエミッションもクリアしている。
ミトのラインアップ全体に適用されたその他の変更は、新デザインのグリルとヘッドライト周り、仕様によって異なるが改修されたインテリア・トリムである。われわれのテスト車両のトリムは、赤と黒のツートーン・カラーでデザインされたダッシュボードが特徴的なディスティンクティブだ。
ミッドイヤー・モデルの2014年型ミトには、TomTomによって開発されたナビゲーション機能を備えたインフォテーメント・システムが導入された。Uコネクト・システムは5インチ・カラー・タッチスクリーンを採用し、テキスト・トゥ・スピーチとオーディオ・データのストリーミングに対応している。
■どんな感じ?
ツインエア・エンジンのノイズと振動はある程度まで許容出来てしまう。最も愉快なエンジンの一つで、そのエンジン音はもっと攻め立てることを要求するからだ。問題は飛ばした時すぐに吹けきってしまい、表示された6000rpmのレッドラインより手前でレブ・リミッターが効いてしまうことだ。
ギアを上げるとエンジンは4000rpm前後まで回転が落ちるため、利用可能な回転レンジは1500rpm前後だ。このエンジンは3000rpm前後より下では本調子にならないことも困ったことだ。
頻繁なギア・チェンジが求められるが、テスト車両に搭載されていた6段マニュアル・ギアボックスは特に3速で加速を拒んだ。テストカー固有の問題である可能性を聞かされたので、ここでの判断は保留することとしよう。
ミトのステアリングは何度も切り返しが必要なタイトなワインディングで力を発揮する。DNAシステムでダイナミックを選択し、入力初期の過度なアシストを乗り越えれば、適度な重みと一貫性が現れる。
比較的まっすぐな道ではナチュラルまたはオール・ウェザーを選択しているとき、人工的な感触とインフォメーションの不足からステアリングへの感動は薄れる。格段に一貫したフィールとそれ以上に要求される重みをもたらすダイナミック・モードを選ぶのがベターだ。
その他の点ではミトはこれまで通りだ。ドライビング・シートは驚くほど低いポジションに固定することが出来る。これは、サンルーフによりヘッドルームが減らされたテストカーでは美点だった。一体感には欠けるデザインだが、特別な感じを与えるダッシュボード、そしてやや硬すぎる乗り心地がそうだ。
■「買い」か?
恐らく買いではない。エンスージァストでないのなら(アルファはよくとても忠実なアルフェスタをそのように指すが)、ミト・ツインエアは妥協点から程遠い。ほとんどのドライバーにとってエンジンはやや煩すぎ、熱心なドライバーにとっては回転バンドが狭すぎるのだ。
更に、われわれは最終的に新しいエンジンの謳う燃料消費を達成できなかった。以前のエンジンではアルファの公称値の半分を達成することにも苦労した。
カタログ上の燃費の差と£900(14万円)の追加費用を考えても、135bhpを発生する1.4ℓの4気筒ターボの方が好ましい選択だ。
(スチュアート・ミルン)
アルファ・ロメオ・ミトTBツインエアー・ディスティンクティブ
価格 | £15,550(245万円) |
最高速度 | 183km/h |
0-100km/h加速 | 11.4秒 |
燃費 | 23.8km/ℓ |
CO2排出量 | 110g/km |
乾燥重量 | 1130kg |
エンジン | 直列2気筒875cc |
最高出力 | 103bhp/5500rpm |
最大トルク | 14.8kg-m/2000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |