【英国の道では味わいきれない】BMW M8コンペティション・グランクーペに試乗
公開 : 2020.09.06 10:20
4ドアクーペのフラッグシップ・グランドツアラー、8シリーズ・グランクーペにMが登場。万能選手と呼びたい実用性と走行性能を備えているものの、大きすぎるボディと硬すぎる足まわりを、英国編集部は指摘しています。
もくじ
ー2ドアクーペより人気の4ドアクーペ
ードイツ人かアメリカ人の方を向いている
ー感心するほどの姿勢制御と機敏さ
ーボディサイズが大きすぎるスポーツカー
ー英国ならM5やM850iがベターか
ーBMW M8コンペティション・グランクーペ(英国仕様)のスペック
2ドアクーペより人気の4ドアクーペ
市場動向を見ると、高い訴求力だと思わざるを得ない。ポルシェ・パナメーラやメルセデスAMG GT 4ドアクーペに対抗するべく登場した、BMW M8コンペティション・グランクーペのことだ。
最新の4ドア・クーペは、ドライバーが得られる興奮に焦点が向けられている。さらに日常の利便性も忘れていない、プレミアム・スポーツだといえる。
M8コンペティション・グランクーペは長い。2ドアクーペのM8より、ホイールベースは201mmも伸ばされている。ドアは4枚へ増えているが、クーペより安いのも特長。英国では2500ポンド(34万円)ほど、お手頃価格に設定されている。
もっとも、1万2000ポンド(1656万円)を軽く超えるような価格帯のバイヤーなら、気にするほどの違いではないだろう。オプションを選べば、この価格差はすぐに消えてしまう。
クラシックで大きな2ドアクーペを選ぶか、ほっそりと長いモダンな4ドアクーペを選ぶかは、好みの問題だと思う。今は、4ドアクーペの方が人気は高いようだ。
遠くないうちに、プレミアムな2ドアクーペ最大のライバルは、消える運命にある。メルセデス・ベンツSクラスのクーペとコンバーチブルは、モデルチェンジの予定がない。
M8グランクーペのメカニズムは、基本的には2ドアクーペのM8と共通。624psを発生するV型8気筒エンジンを搭載し、四輪を駆動する。ドライブモードを介して、後輪駆動へ切り替えることもできる。
ドイツ人かアメリカ人の方を向いている
2ドアとの最大の違いはボディサイズ。全長は5.1mを超え、車重は2tオーバー。M8のコンバーチブルも、同じくらい重たいが。
M8グランクーペの場合、フロントガラスが狭く前方の視界は限定的。長いボンネットのおかげで、前端がどのあたりにあるのか、感覚もつかみにくい。
サイズは、すでに大きいポルシェ・パナメーラを上回る。ただし、メルセデスAMG GT 4ドアクーペの方が、さらに幅は広い。
この3台はいずれも、ドイツ人かアメリカ人の方を向いている。英国や日本のような道路環境では、車重と車幅は、考慮したいポイントとなるだろう。
低速域では、仮想現実機能を用いた映像によるパーキング・カメラ・システムが助けてくれる。ステアリングの操作に合わせて、実際にカメラ映像も向きを変える。
大きく伸ばされたホイールベースのおかげで、身長が180cmを超える大人でも、リアシートへ快適に座れる。傾斜したルーフラインのおかげで、頭上空間はやや狭い。
荷室容量は、2ドアクーペより20Lほど大きい。リアシート中央部にはトランクスルー機構が付き、スキーなど長尺の荷物も詰める。
そのかわり、リアシートの中央は子供用。トランスミッション・トンネルは高く、エアコンの操作パネルが飛び出ていて、またぐ感じで座ることになる。
定期的にリアシートへ3名を乗せる必要があるなら、5シリーズや7シリーズを選んだ方が良い。同様に高速なモデルが選べる。