キア・クオリス
公開 : 2013.10.31 10:48 更新 : 2021.03.05 21:37
■どんなクルマ?
ヨーロッパのラグジュアリー・サルーンと真っ向勝負を掛けるキアのトップ・モデルだ。長さ5mを超すRWDのサルーンで、韓国国内市場だけでなく、アメリカ、中東、ロシアで販売される予定である。既に幾つかの国ではK900またはK9というネーミングで販売されているモデルでもある。
キアのソハリ工場で、セドナ、リオなどと一緒に生産が行われるこのモデルは、すでにキアの祖国では販売が行われており、アメリカ市場には11月のロサンゼルス・モーターショーで公開されK9として販売されることとなっている。
キアはこのモデルがヨーロッパ市場では受け入れられないことを認めている。しかし、カデンザの売上が好調なアメリカでは、このハイエンド・モデルが受け入れられる余地があると踏んでいるようだ。
但し、韓国市場では3.3ℓエンジンが搭載されているのに対し、海外向けは3.8ℓのV6あるいは5.0ℓV8が搭載され、8速オートマティックが組み合わせられる。価格はまだ発表されていないが、$45,000(442万円)から$75,000(737万円)の間となろう。
■どんな感じ?
キアはBMW 5シリーズとメルセデス・ベンツEクラスをベンチマークとしているが、これらのモデルよりも優れた点があるとアナウンスしている。
そのひとつがスペースだ。長さ5090mm、ホイールベース3045mmのクオリスは、フロント、リア共に充分なスペースが確保されている。また、トランクの容量も大きい。
もうひとつがその装備だ。すべてが標準というわけではないが、TFFインストルメント・クラスター、リア・シート用の9.2インチ・モニター、ヘッドアップ・ディスプレー、クルーズ・コントロール、アジャスタブルなフロント・ライト、めまいが起きそうなほど多くの調整が可能なシート、アラウンド・ビュー・モニター、そして数々の安全装置などがラインナップされる。しかし、その多くの装備はドイツのライバルのようにすっきりとは収まっていない。また、プラスティッキーなスイッチなどもマイナス点だ。
一方、乗り心地はエア・サスペンションを採用したことで非常に快適だ。衝撃をうまく吸収してくれるし、キャビンへの騒音の侵入も非常に良く抑えられている。
ソウルの混雑した状況下では、3.8ℓのV6エンジンのパワーをフルに味わうことは出来なかったが、それでも気持ちのよい加速を持つことだけは分かった。しかし、クオリスは快適さが重視されたモデルであり、ダイナミックなドライブを愉しむ類のクルマではない。ステアリングはほとんど路面の状況を伝えてくれないし、コーナーを曲がった後は、荒波にもまれるようなヨーが残る。ドライビング・モードの切り替えスイッチもあるのだが、ほとんどその違いは認められなかった。
■「買い」か?
ヨーロッパの住人にとっては無関係なクルマだ。たとえ、ヨーロッパで販売されたとしても、現在のシェアに食い込むことは不可能だろう。また、ブランドという点からも、積み重ねられたドイツ・メーカーの一角に食い込むことは難しいだろう。
しかし、アメリカではキアのブランド・イメージは悪くはなく、そのスペース・ユーティリティの広さと装備の良さで、販売を伸ばすことができるかもしれない。
(マット・バート)
キア・クオリス
価格 | £37,000(583万円) |
最高速度 | 240km/h |
0-100km/h加速 | 7.3秒 |
燃費 | 10.6km/ℓ |
CO2排出量 | 192g/km |
乾燥重量 | NA |
エンジン | V型6気筒3778cc |
最高出力 | 329bhp/6400rpm |
最大トルク | 40.2kg-m/5100rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |