【奇抜なルックスが話題に】いすゞ・ビークロスとは、なんだったのか? じつはかなり硬派なメカニズムでもあった

公開 : 2020.09.03 05:50  更新 : 2021.10.13 12:20

ビークロス、じつは高い実力を秘める

前述のようにエクステリアに話題が集まりがちなビークロスではあるが、じつはオールラウンド・リアルスポーツをコンセプトに開発されたモデルでもあった。

足回りにはラリーレイドからフィードバックしたアルミ製モノチューブ別体タンク式ショックアブソーバーを採用しているのだ。

いすゞ・ビークロス
いすゞ・ビークロス    AUTOCAR英国編集部

今でこそハイパフォーマンスなスポーツモデルやアフターパーツとしては知られるところの形状ではあるが、当時はまだまだ発展途上の最新技術だった。

車両価格300万円を切る量産車への採用は異例中の異例となっていた。

また、フレームとボディを繋ぐマウント部のブッシュには柔らかいゴムではなく樹脂に近い硬度のものを採用。

サスペンション周りのブッシュも強化品にし、リアラテラルリンクのブッシュに至ってはピロボール化がなされるなど、まさにラリーレイド車両のようなメカニズムが採用されていたのである。

このようにルックスも含めかなりトガった仕様となっていたビークロスだけに当時の日本ではあまり受け入れられなかった。

しかしその後に販売された北米ではコアなファンを獲得するなど一定の評価を集めている。

当時はどちらかというと異端なイメージのビークロスではあったが、現在のSUVブームの中で見ていると、1台くらいはこのようなモデルがあってもいいような気がする。

そういう点では時代を先取りし過ぎてしまったのがビークロスということであり、現在いすゞが乗用車事業から撤退し、第2のビークロスが生まれることがないというのが残念でならないのだ。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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