【詳細データテスト】ホンダe 広い室内 街乗りは快適で楽しい 航続距離が最大の難点

公開 : 2020.09.06 07:20

結論 ★★★★★★★☆☆☆

拡大を続けるEV市場において、いくつかの部分、少なくともヴィジュアル的魅力の大きさでは、eはじつに新鮮で興味をそそられる存在だ。しかし走りは、まさしくBMW i3以降に開発されたEVといったもの。ホンダも、ほかより一枚上手を行くクルマだと認めるライバルだ。

だから、スタイリッシュな電動プレミアムシティカーというアイデアには惹かれても、BMWの元気で軽快なシャシーチューニングと斬新すぎるルックスになじめなかったなら、同様にコンパクトで、商品力が高く、独特のデザインテイストを持ったホンダを選ぶという手はある。

結論:EV戦国時代に、かわいい顔立ちだけじゃない魅力で切り込む。ただし、航続距離の短さは問題だ。
結論:EV戦国時代に、かわいい顔立ちだけじゃない魅力で切り込む。ただし、航続距離の短さは問題だ。    MAX EDLESTON

しかもeは、i3に比べて市街地での乗り心地がゆったりして角が丸められていて、さらに取り回しもいい。i3のようでいて、特異なところは少なく、より熟成されているクルマだ。

市街地での走りは十分に楽しめる。もっと長距離でも走りはいいのだが、その場合には多くのユーザーにアピールできない理由がほかにある。

航続距離の短さが、このクルマを選ぶことに二の足を踏ませるのだ。そしてそれが、クラストップの座に就けない原因でもある。EVへの不安を抱えながらはじめて電動化に挑戦しようというなら、ホンダeはおすすめできない。

逆に、短距離を走るだけのEVで問題がないというのなら、このクルマはピッタリだろう。ただし、われわれは心配している。そういうユーザーはそう多くないのではなかろうか、と。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

個人的には、ボディ前方に充電ポートのあるEVはやはり好きになれない。充電しようと思ったら前向きに駐車して、バックで出庫しなければならないからだ。ただし、少なくともこのクルマは、前後はもちろん全方位的に視認性がすばらしい。低速時の走行音は宇宙船を思わせるので、走り出すたび通行人に好奇の目を向けられるのは我慢しなくてはならない。

サイモン・デイヴィス

デザインのよさがいかに効果的か、このeは教えてくれる。航続距離の短さや価格の高さに目をつぶってでも、ルックスがいいからこのクルマがほしいという声があるのも理解できる。

オプション追加のアドバイス

価格は高いが、アドバンス仕様を選ぶべきだ。オーディオはグレードアップされ、アクティブセーフティはより充実。カメラシステムも高機能なものになる。さらに、希望すればホイールを小さいものに換えて、航続距離を伸ばすことも可能だ。

改善してほしいポイント

・高速域でのボディコントロールのリファインを重ねて、不整路面での乗り心地をより快適にしてほしい。
・航続距離は延ばしてもらいたいところ。もちろん、車両重量を大幅に増やすことはなしに。

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