【詳細データテスト】ホンダe 広い室内 街乗りは快適で楽しい 航続距離が最大の難点
公開 : 2020.09.06 07:20
内装 ★★★★★★★★☆☆
エクステリアと同じく、上々のデザイン的な魅力がキャビンにも見受けられる。
大ぶりなフロントドアを開け、身体を滑り込ませば、迎えてくれる室内環境はすばらしく開放感があり、ヴィジュアル的に惹かれるものを認められるが、それだけではない。造りがソリッドで、テクノロジー的に洗練されている。
シートは幅広く、柔らかさが顕著で、横方向のサポートがやや足りない。着座位置は比較的高め。表皮はドアの内張りともども、見た目にすっきりしたグレーのファブリックで、シックな最高級ソファーから剥ぎ取ってきたかのようだ。
木目調トリムのダッシュボードと、コントラストとなっているブラウンのシートベルトも含め、それらが醸し出す上品さや物欲を刺激する感じは、ライバル車には見られないもの。もっとも、このちょっとばかりトリッキーな演出でユーザーの心を揺さぶるアプローチは、やはりRRレイアウトのデザイナーズEVともいうべきBMW i3と同じ手法だが。
そんな室内で、もっとも目を引くのが、ダッシュボード上にズラリと並んだディスプレイの列だ。その数、全部で5面。そのうち、両端のふたつは、デジタルドアミラーのカメラが捉えた外部映像を投影する。
そのほかは、ドライバーの前のひとつがメーターパネル、残りふたつがインフォテインメントシステム用だ。先進性という点だけでみれば、テスラにも張り合えるのではないだろうか。
エルゴノミクス的には上々だ。シートとステアリングコラムのアジャスト性は十分。空調に実体スイッチを残したホンダの判断には、称賛を送りたい。操作系は、インフォテインメントシステムに統合するのも簡単だったはずだ。キャビンには収納スペースも豊富で、後席には乗員の数だけドリンクホルダーが備わる。
その乗車定員は4名で、前席に背の高いドライバーが座ると、後席では必然的に、脚を開いてフロントのシートバックを避けなくてはならなくなる。
一般的なシートポジションでの後席レッグルームは660mmで、フルサイズのBセグメントにもこれを下回るものはあるから、このクルマのサイズを考えれば悪くない数字だ。とはいえ、平均的な体型の大人が前後に座ると、後席に窮屈さを感じず快適に過ごせるほどの空間は残らない。
荷室はやや限定的で、通常時の容量はウインドウの高さまでで171L。リアシートを倒せば、最大861Lまで拡大できる。一般的なBセグメントの水準に大きく劣っているわけではないが、短距離移動用のランナバウトとしてならともかく、ファミリーカーとして考えれば十分とはいえない。