【詳細データテスト】ホンダe 広い室内 街乗りは快適で楽しい 航続距離が最大の難点
公開 : 2020.09.06 07:20
走り ★★★★★★★★☆☆
eのパフォーマンスレベルは、必然的に走ることになるであろう、周囲にクルマがひしめく環境に適したものだ。全般的にいって、このクルマはパワフルさや鋭いレスポンスで売るタイプのEVではない。それでも、望めばかなり元気な瞬発力のある加速をみせる。
48-80km/h加速は、市街地を出て、スローに走るトラクターを追い越すようなシチュエーションに当てはまるが、そのタイムは3秒フラット。もっともこれは、i3RExが2013年にマークした2.7秒に及ばないし、より大柄なキアe-ニロやヒュンダイ・コナ・エレクトリックにも後れをとる。
それでも、市街地やその周辺で、このeをきわめてエネルギッシュに感じさせ、機を捉えて車間にスルリと合流するには困らないはずだ。
走行モードはノーマルとスポーツで、ふたつの主な違いはスロットルペダル操作へのレスポンスだ。
ノーマルモードでは、急加速するにはかなりペダルを踏み込まなければならない。それでも、踏めばこのRRレイアウトのEVはテールを沈めて、前方へ弾かれたように飛び出す。それは、32.1kg-mのトルクを瞬時に叩き出すクルマに期待するレベルのレスポンスをさえ、かなり上回るものだ。
そこから、ロッカースイッチでスポーツモードに切り替えると、当初のソフトなスロットルレスポンスが、かなりシャープになる。
回生ブレーキは、初期設定では効きが比較的抑えめだが、ドライブセレクター直後のボタンを押すとシングルペダル走行モードを選ぶことができる。エネルギー回生のセッティングは、ステアリングホイール裏のパドルで、好みの効き具合に変更可能だ。
もっともアグレッシブなセッティングでも、このクルマの走りが全体的にそうであるように、それほどアグレッシブではないのだが、そこではモーターの回生制御と四輪の摩擦ブレーキを組み合わせ、みごとになめらかな減速を実現する。適切なペダルフィールとプログレッシブな効きによって、スムースに制動できるのだ。
フルブレーキングでは、113km/hから静止するまでに44.5mを要する。EVにはいまだに珍しいスポーツタイヤのミシュラン・パイロットスポーツ4は、間違いなくこれに大きく寄与している。