【詳細データテスト】ホンダe 広い室内 街乗りは快適で楽しい 航続距離が最大の難点

公開 : 2020.09.06 07:20

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

比較的スローなステアリングと、コンパクトで背の高いリアエンジン車にありがちなサスペンションチューニングは、低速域で奇妙なほど扱いにくいことがある。だが、eはそうではない。

数百mも走れば、リアのスプリングが比較的ソフトで、フロントの荷重がリアより小さいことはわかりはじめるだろう。これらの要素は、グリップ限界で穏やかなアンダーステアを生じる。それを知るのは、カントリーロードで元気に走ればそう難しいことではない。

サスペンションがソフトで、不整な郊外路では揺すられることもある。だが、市街地では安定しており、小さなボディと優れた視認性もあって扱いやすい。
サスペンションがソフトで、不整な郊外路では揺すられることもある。だが、市街地では安定しており、小さなボディと優れた視認性もあって扱いやすい。    MAX EDLESTON

しかし、このクルマの主戦場となるであろう市街地では、俊敏で正確に操舵でき、ボディのロールは緊密なコントロールをキープする。それでいて、低速域で硬く忙しない乗り心地に悩まされることもない。

ジャンクションやラウンドアバウトを駆け抜けるのも楽しめる。視認性は非常に優れ、ボディ幅が抑えられているので扱いやすい。グリップや走りの落ち着きぶりは、力のある電動パワートレインを持つクルマに必要なレベルを満たしている。

だが、市街地での安定ぶりが、必ずしもB級道路でも再現されるわけではない。サスペンションの柔らかさは、不整路面でややボディを揺り動かしてしまいがちなところがある。路肩寄りの段差では横方向にそわつき、頭が振られるほどだ。

大きな突き上げではピッチングや波打つような挙動も発生する。クルマの重心近くに座っているドライバーは、すべてを感知するわけではないかもしれない。

それでもやや高い着座位置が、それを伝えてくる。そのドライビングポジションは、サイズこそ小さいが、2階建ての建物をフロントにあるベッドルームで動かしているような感覚になる。

速度を上げれば、安定感は十分。ただし、グリップ限界はそれほど高くないし、アンダーステアは穏やかながらも一度発生すると根強い。強くはないが効果的に機能する電子制御のスタビリティコントロールは、弱めることはできるが完全にカットすることはできない。

速いコーナリングでのロールは、じつに小気味よい。ありがたいことに、ロール角は大きくない。それでも、前輪の食い付きを融通の効かないようなかたちで失わせるだけの大きさはある。

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