【最新の500は純EV】フィアット500新型 試作車へ試乗 エンジン版と共存へ 前編

公開 : 2020.09.09 10:20  更新 : 2020.09.09 10:44

まったく新しく生まれ変わるフィアット500。初代500から数えると4代目に当たる最新版は、完全な電気自動車になります。従来からのファンだけでなく、アンチ派も好きになる走りだと、英国編集部は評価します。

エンジン版と並行して売られる新世代

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最新のフィアット500が登場する。初代500の登場から3回目のモデルチェンジとなる。デザインチームには、お疲れさまでした、と声をかけてあげたいところ。1957年と、2007年の頃のように。

美しいと感じる人もいるだろう。手堅くまとめた、と見る人もいるかもしれない。フィアット500の購買動機を考えれば、見た目はとても重要だ。

フィアット500 プロトタイプ
フィアット500 プロトタイプ

登場から13年が経っていた従来のフィアット500は、マイナーチェンジ後の3年間も販売が好調。運転環境や安全機能など、変化が大きい時代にあって、驚くべき人気だった。

最新の500は、見た目は500らしいが、これまでとは大幅に異なる。完全な電気自動車になった。2気筒のガソリンエンジンもない。ハイブリッドもない。

ただし従来のフィアット500は、最新版と一緒に当面販売が継続される。フィアットのショールームに行けば、エンジン版の500も、しばらくは買える。ただし名前は同じ。混乱する人もいるかもしれない。

外観は紛うことなき500ながら、新開発された、スケートボード状の純EVアーキテクチャを基本骨格としている。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)としては、初の量産版純EVとなる。

今回は、純EV版フィアット500のプロトタイプへの試乗。見た目と同じくらい走りが良い、という決り文句は、このクルマにも当てはまるものだった。

大きくなったボディに320kmの航続距離

フロアに敷き詰められた、リチウムイオン・バッテリーの容量は42kWh。満充電での航続距離は320kmと、やや控えめ。

フロントに搭載するのは、118psと22.3kg-mを発生する永久磁石モーター。ダイレクトドライブ方式で、前輪を駆動する。

フィアット500 プロトタイプ
フィアット500 プロトタイプ

DC急速充電器に標準対応し、85kWの容量のDC充電器なら35分で満充電にできる。11kWのAC充電器なら、4時間15分かかる。

純EV版のフィアット500にとって、最大のライバルはミニ・エレクトリックやホンダe。ライバルの航続距離は200km前後と短く、フィアット500が優位に見えてくる。

ボディサイズは、ひと回り大きくなった。従来のフィアット500と並ぶと、明らかに大きい。それでも実際の寸法は、それほど大きいわけでもない。

比較すると、全長は61mm伸び3632mm、全幅は56mm広くなり1683mm、全高は29mm高くなり1510mmへ成長している。ホイールベースは22mm長い。

リアトレッドが広がり、17インチという大きめのホイールを履く。新しい500は、見た目の安定感も良い。凛々しい佇まいだ。

運転席に座れば、まだまだ小柄。混雑した都市交通をすり抜けるのに、最適なボディだといえる。

試乗した500カブリオレは、量産版に限りなく近い。来月以降、量産版の試乗が許される予定で、英国では2021年1月から販売がスタートするという。今回のルートは、トリノ周辺のエリアに限定された、短いものだった。

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