【離島の軽トラ謎だらけ】ナンバープレート無しが普通? 運輸支局/警察の考えは? 目をそらせぬ「実情」も

公開 : 2020.09.05 05:50  更新 : 2022.03.25 18:51

知ってた? 離島は自賠責保険が大幅安

毎回、車検の時におさめる諸費用のひとつとして「自賠責保険」があるが、この保険料は全国均一ではない。

原動機付自転車を含むすべての自動車は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険(共済)に入っていなければ運転することはできないが、沖縄県や離島はかなり安く設定されている。

離島の多くは小さな島で、筆者が訪れた離島は本土への定期船はあるものの島の道路をすべて走ったところで3kmに満たない。
離島の多くは小さな島で、筆者が訪れた離島は本土への定期船はあるものの島の道路をすべて走ったところで3kmに満たない。    加藤博人

事故が少ないことや、クルマを走行させる範囲が限られていることから離島に使用の本拠がある自動車に対する一種の優遇措置といえるだろう。

2020年4月1日以降始期契約(※2020年4月より自賠責保険は交通事故の減少などを理由に平均16.4%引き下げられている)

自家用乗用自動車(25か月)

2万2210円
離島8190円
沖縄県(離島以外)1万1360円

軽自動車(検査対象車/25か月)

2万1780円
離島7560円
沖縄県(離島以外)5440円

※離島とは、本土(北海道、本州、四国及び九州)以外の島であって、橋又は隧道による本土との間の交通又は移動が不可能なもの(沖縄県を除く)をいう。

国土交通省の資料(平成27年国勢調査)による日本の有人島数は416島(※内水面離島である沖島〈滋賀県〉を含む)、無人島は6432島としている。

これら有人の離島(特に小さな島)におけるクルマ生活における実情を、事情に詳しい公的団体の関係者に聞いてみた。

ナンバーのないクルマは存在するのだろうか?

離島のクルマ、車検に出すのは大変

「個人的な印象ですが、かつてはナンバーのないクルマが目についた場所も近年は減っているように思います」(離島の事情に詳しい公的団体の関係者)

「2005年1月から自動車リサイクルシステムの運用が本格的に始まったことが関係しているのでしょう」

本土では車検満了日の1か月前から継続検査が受けられるが、離島では本土や車検が受けられる工場まで運ぶために船を使うため余裕を持たせて2か月前から受けられる救済措置が平成27年4月1日に導入された。
本土では車検満了日の1か月前から継続検査が受けられるが、離島では本土や車検が受けられる工場まで運ぶために船を使うため余裕を持たせて2か月前から受けられる救済措置が平成27年4月1日に導入された。    加藤博人

「廃車にする際に確実に解体業者の手によってクルマを解体することが定められるなど、廃車(抹消登録)のシステムも大きく変わりました」

「実際、離島のクルマを車検に出すとなると実に大変です。定期船が出ているところでもクルマを運ぶには別の船が必要となります。また、そもそも定期船さえ出ていない離島もたくさんあります」

「北海道の奥尻島では、島民の車検に対応するため、(民間業者がなかなか進出しなかったこともあり)町営の車検場を作りました」

「離島だけ車検有効期間を長くすることや、海上輸送費を公費で援助することなど要望してきた地域もあるようですが……なかなか実現には至っていないようです」

「車検もそうですが離島は燃油コストも非常に高くなります。ガソリンスタンドがない離島はドラム缶や携行缶で本土からガソリンを運んでいます」

なお、平成27年4月1日に施行された車検に関する離島の救済措置が導入された。

本土では車検満了日の1か月前から継続検査が受けられるが、離島では本土や車検が受けられる工場まで運ぶために船を使うため余裕を持たせて2か月前から受けられるとしたものだ。

車検期間が延長されるわけではない。

離島の多くは小さな島で、筆者が訪れた離島は本土への定期船はあるものの島の道路をすべて走ったところで3kmに満たない。

信号はなく横断歩道すらない島の道路は1日1周しても年間で1000km程度だ。

その用途のほとんどは島の生活や産業に必要な移動や輸送だと思われる。

自賠責はさておき、車検に関してはケースバイケースで何らかの救済措置があっても良いのではないかと思う。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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