【山梨交通】かつて路面電車が走った甲府に、和魂漢才の電気バスは走るか? 中国製バス車体・日本製バッテリー
公開 : 2020.09.07 11:55 更新 : 2020.09.07 12:03
アルファバスe-City L10 中国製車体に座間のバッテリー
既にバスの電化が進む中国国内で普及し、スペインやイタリアなど欧州での採用実績もあるというアルファバス。
車体に関してはEUの完成車認証を取得するなど一定の信頼性は保証されているともいえるが、BEVの要ともいえる駆動用バッテリーはどうなのだろうか?
車体の最後部、石油燃料のバスならばエンジンルームとなっているコンパートメントには、ゴツい角パイプで4段に組まれたラックに6基のリチウムイオンバッテリーと補機類が鎮座していた。
実はこのバッテリー、日産リーフに搭載されているものと同一のエンビジョンAESCジャパン製セル・モジュールが使用されており(AESCは元・日産の子会社で現在は中国資本)、神奈川県座間市で生産されている。
いうなれば “和魂漢才”の電気バスといえるだろう。
Windowsパソコンと中華パーツの大躍進に似てる?
整備重量で12トン近い車体を約250km走らせる、296kWhのバッテリーを積むe-City L10。電気自動車で問題となる充電に関しても、日本の急速充電ポート規格である『チャデモ2.0』に対応。
また、この充電ポートや装備された家庭用100Vインバーターから建物や家電製品への給電も可能となっている。非常時には電源としても活用できるシステムを備えている。
車内に乗り込めば、日本の路線バスで普通に見かける運賃箱に手すりに降車ボタン。
唯一、運転席の路線バスらしからぬ豪華なサスペンション付きシートや、ヘアライン仕上げ風の化粧パネルが奢られたインストゥルメントパネルに出自の違いを感じたぐらいで、一般の乗客には何の違和感もないだろう。
今回は別の用事で立ち寄ったついでだったため、充分な時間を取った取材や実走などは叶わなかったので、それだけで万事を知ったように語ることはできないが、EVならではの出足からの厚いトルクで走りも悪くないそうだ。
日本の主要なトラック・バス・メーカーも今後10年で完全に電動へとシフトすると表明しているとはいえ、現状では中国メーカーの後塵を拝しているともいえる。
“ジャパン・クオリティ神話”も揺らぎつつある現在、新興メーカーや国にいつまでも油断してはいられないだろう。
今回の取材で記者が思い出したのは25年ほど前、当時使っていたパソコンをNECのPC-9801からショップ製のWindows機に乗り換えた時のこと。50万円の国産パソコンよりも10万チョイの中国製パーツ寄せ集めの方が圧倒的に高性能だったことに驚いた。
実際、この20年でほとんどの日本メーカーはパソコンの製造から撤退、一部の高級機を除いては海外製品が市場を席巻するに至った。