【すべての新技術を積んでいる】新型Sクラス開発責任者 マーカス・シェーファーへQ&A
公開 : 2020.09.07 15:20
メルセデス・ベンツの最高級サルーン、Sクラスが7代目へモデルチェンジしました。英国編集部では、研究開発と調達、サプライヤー品質を取りまとめるマーカス・シェーファーへ、新モデルに対する考えを伺いました。
Sクラスがユーザーを認識し、合わせる
先日メルセデス・ベンツは最新のW223型Sクラスを発表した。AUTOCAR英国編集部では、Sクラスの開発を担当したマーカス・シェーファーへインタビューを行ったのでご紹介したい。
ーー新型Sクラスは、今まで開発してきたクルマの中で、最も先進的だと表現されています。一方で小型車にも、求められる技術は沢山あります。ラグジュアリー・サルーン市場が縮小する中で、Sクラスをどう差別化し、継続させていくつもりでしょうか?
「先代のSクラスは、モデル末期まで並外れた強さを示していました。小型モデルには搭載されているMUBX(対話式音声認識などを備える、メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)も、Sクラスにはありませんでした」
「しかし、盤石なロイヤルカスタマーが存在しています。新しいSクラスにも、自信があります。ふんだんなイノベーションを獲得し、インテリジェントなラグジュアリー・サルーンとしての、新基準になると考えています」
「あらゆる角度で検証し、直感的な使いやすさを求めました。Sクラスがユーザーを認識し、ユーザーへ合わせます。クルマに適応する必要はありません」
「クルマに歩み寄ると、ドアハンドルが立ち上がります。以前乗車した記録から、ドライバーを認識するのです」
「3段階の認識機能を備えています。車内のジェスチャー・センサーとカメラは、ユーザーが行動する前に、何をしようとしているのか予測します」
先進的すぎて認証の法規すらない国も
「Sクラスは、OTA(無線通信でのアップデート)にも対応しています。ユーザー・インターフェイスだけでなく、クルマの機能面でも」
「高性能なコンピューターを搭載し、将来的なアップデートにも対応できます。最先端の内容なため、担当機関と協力して開発を進めているほどです。先進的すぎて、国によっては認証の法規すらない場合もあります」
「例えば、デジタル・ヘッドライト。260万画素の解像度を持つライトです。ガレージの壁に映画を投影できるほどの、解像度を備えているのです」
「われわれは、数カ国の関係機関と協力し、一般道で機能させるために取り組んでいます。ドイツでは、先進的な技術に理解があり、すでに合法です。しかし、ほかの国では異なります」
「レベル3の自律運転も同様。来年の後半には、ドイツでは実行できるようになるでしょう。一部のメーカーには、(Sクラスに搭載される)技術の一部を備えるモデルはあります。でもSクラスには、多くの新機能が、すべて搭載されている。それがユニークです」
ーー新しいSクラスは、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)がモデルをリードすると考えています。ディーゼルエンジンのPHEVは、計画していますか?
「ディーゼルエンジン版PHEVの計画はありません。GLEやEクラスにはありますよね」
「Sクラスの主要市場は、中国と韓国、北米です。欧州が優先されるクルマではありません。Sクラスの市場では、ディーゼルは重視される選択肢ではないのです」