【シェアするクラシックカー】モーリス・エイトが広げるファンの若返り 後編
公開 : 2020.09.19 16:50 更新 : 2020.12.08 08:39
いつか1台を見つけ、所有したい
「時間は掛かります。でも感じるストレスは少なく、当時の交通条件に近い環境で、クルマを走らせることができたと思います」
「日常的な買い物や、近場へのドライブにも乗りました。エイト・シリーズEは乗りやすい。古いクルマなのに、実用的で本当に驚きました」
「とても好きになりました。運転することが楽しい。ブレーキは、車間距離を気にしていれば大丈夫」。とアランソンが話す。
多くの注目も集めたという。「買い物に行くと、いつも数名の人がクルマを囲んで話しかけてきました。ひと目見たいと、近寄ってくる人も」
メンテナンスの手間は、最小限で済んだようだ。「トランスミッションに250ccほどのフルードと、エンジンに1.5Lのオイルを補充しています。燃費は、一度計算してみたら15.6km/Lくらいは走るようです」
クラシックカーへの思いに、変化はあっただろうか。「エイト・シリーズEのカタチが好きです。ツアラーは、夏の季節に良いですね。いつか1台を見つけ、所有したいと考えています」
アランソンにエイト・シリーズEを貸し出したことで、モーリス・レジスターにも良い変化が起きている。レジスターのメンバー、シモンズが説明する。「ウェブサイトを運営したらどうかと、アランソンに勧められ、開設しました」
「アランソンを、会費不要の正式なメンバーとして迎え入れました。レジスターに関心を持ってくれ、協力してくれます。かけがえのない、新メンバーです」
扱いやすく、運転が楽しいモーリス
この記事が出る頃には、モーリス・エイト・シリーズEは3人目の貸し出し人へ渡っているはず。その前に、筆者も試乗させてもらった。
とても扱いやすく、運転が楽しい。FYK 259のモーリスは、見事に仕上がっている。
918ccのサイドバルブ・エンジンは滑らかに吹け上がる。十分活発に速度を上げ、70km/hくらいでのクルージングは問題ない。80km/hでも、恐怖感はない。
トランスミッションは、変速時にカチッと決まり、ゲートはタイト。シンクロメッシュの状態は良いようだ。
ブレーキペダルのストロークは短く、比較的簡単にモーリスの速度を落としてくれる。ステアリング・ラックの調子も良く、直進時の安定性やコーナリングにも不安はない。
乗り心地は、意外なほどに快適。4本ともにリーフスプリングが支えている。
確かに、このモーリス・エイト・シリーズE ツアラーは、初心者でも運転できるクラシックカーだといえる。不必要に身構える必要もない。
筆者も、今から40年以上前、間違った選択をしたわけではないようだ。すでにクラシックカーの経験は少なくないわたしだが、この小さなモーリスを、しばらく借りたいと思ってしまった。
モーリス・エイト・シリーズE ツアラー(1938〜1941年)のスペック
価格:新車時 135ポンド/現在 1万5000ポンド(204万円)以下
生産台数:2776台
全長:3658mm
全幅:1422mm
全高:1549mm
最高速度:98km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:12.7-15.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:714kg
パワートレイン:直列4気筒918cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:30ps/4400rpm
最大トルク:5.3kg-m/2400rpm
ギアボックス:4速マニュアル