【PHEVの小さなオフローダー】ジープ・レネゲード4xeへ試乗 個性と走破性 後編
公開 : 2020.09.15 15:20
ジープ製モデルの中で、一番人気がコンパクトSUVのレネゲード。マイナーチェンジにあわせてプラグイン・ハイブリッドを獲得しました。小さなジープとして、濃い個性と高い走破性は変わりません。英国編集部が評価しました。
スペックほど速くは感じられない
高速域では、空力的に不利な四角いレネゲード4xeのボディが生む、風切り音が目立つようになる。市街地での速度域を超えない方が、洗練された印象のまま運転できる。
動的な性能は、普通に走る分にはベースグレードでも充分。だが、全力で加速するような場面では、期待ほどの活発さはない。非力さを感じることはないももの、スペックで劣るライバルと比べて、レネゲードが明らかに速いと感じることもなさそうだ。
そう感じさせる理由の1つが、トルクコンバーター式の6速AT。充分に滑らかながら、現代的なデュアルクラッチATより、変速スピードなどでは及ばない。
最高出力の高い、240psのトップグレードにも短時間ながら試乗したが、こちらは明確に活発。しかし、英国へ導入される予定は今のところない。
今回の試乗ルートは、北イタリアの丘陵地帯。さまざまな交通条件で93kmほどを走行したが、バッテリーの電力は、43kmを過ぎた時点で空になった。
一度バッテリーの残量がなくなっても、減速時や惰性走行時にはエネルギーの回生機能が働く。細かな充電のおかげで、24km/hくらいまでなら、電気モーターで加速できる。減速時のエネルギー回生は、シフトノブについているボタンで強くすることも可能だ。
試乗ルートで得られた燃費は20.5km/L。おそらく、ガソリンエンジンのみのレネゲードで走った時より、8.9km/L程度は良いと推測できる。
ジープ・ブランドとして高い悪路性能
この燃費の差が、5500ポンド(77万円)ほど高い車両価格に見合うかどうかは、個人的な利用環境や考え方によるだろう。英国の場合、会社からの貸与車両などでは、税制面で有利になることは間違いない。
バッテリーが追加され、重量が増えたことで、乗り心地は向上している。以前に試乗したエンジン版のレネゲードより、所々で穴の空いたような舗装状態でも、明らかに落ち着いていた。ホイールが18インチと小さめだったことも、影響しているはず。
トレードオフとして、レネゲード4xeはコーナリング時のボディロールが大きい。ステアリングホイールの操舵感は、ダイレクトさが薄く、リモート感が強い。コーナーを高速で走ろう、という気持ちにはならない。
グリップ力は充分に高い。しかし1600kgもある車重は、常に意識させられる。ミニ・クロスオーバーのPHEVのように、小気味よくワインディングを走れるということはないだろう。
レネゲード4xeは、ジープ・ブランドとしての強みを持っている。ミニ・クロスオーバーや、そのほかのコンパクトSUVとは異なり、悪路での走破性は驚くほどに高い。
EVモードでの、滑らかで正確なパワー伝達も有効。もし本気のオフロード性能が必要なら、このクラスのPHEVでは、レネゲード4xeを超えるモデルはおそらくないだろう。
動的性能以外の面でも、ジープ・レネゲード4xeを気に入る要素は沢山ある。個性的なスタイリングと、実用的な車内。トレイルホークでは力強い無骨さも強調され、現代のコンパクトSUVの中では、際立った存在感がある。