【意外な共通点】シルビアやソアラ 国産ネオクラシック人気車 1980〜90年代 国内市場の大変化が背景

公開 : 2020.09.10 10:40  更新 : 2021.10.22 10:14

「ネオクラ」は、ネオクラシックカーの略称です。2020年現在、1980年代から1990年代に生産された車両が該当します。たとえばトヨタ・スープラや日産シルビア。かの奥ゆかしさ以外に、共通点がありました。

今注目されている「ネオクラ」とは?

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

「ネオクラ」とは、ネオクラシックカーの略称だ。

一般的にネオ(Neo)は新しい傾向を示す時に使われるから、ネオクラも比較的年式の新しいクラシックカーを示す。2020年現在、1980年代から1990年代に生産された車両が該当する。

1998年式日産シルビア。1980年代から1990年代に生産された車両が該当するネオクラシックカーの1台。
1998年式日産シルビア。1980年代から1990年代に生産された車両が該当するネオクラシックカーの1台。    日産

中高年齢層としては「1980年代から1990年代でクラシックカー?」と思うが、現在30歳から40歳のユーザーから見れば、生まれた頃に生産されたクルマだ。

ただし1960年生まれの人が30歳を迎えた1990年頃、1960年式の初代ブルーバードや初代セドリックは、立派なクラシックカーだった。

同じ30年前のクルマなのに、現時点で1990年に製造されたNSXやR32型8代目スカイラインを見ても、本格的なクラシックカーとは思えない。

ネオクラという新しいカテゴリーに分類されるのは、クルマの進化が時代に応じて変化したからだ。

1970年代までは、クルマのデザインや走りの技術が急速に進化したから、30年を経過すれば立派なクラシックカーになった。

それが1990年以降になると、カーデザインや動力性能は伸び悩みを見せ、特に2000年以降は変化が乏しい。

その代わり安全装備と運転支援機能は大幅に進化して、ハイブリッドを筆頭に燃費も向上するなど進化の焦点が変わってきた。

耐久性、大きく変化 平均寿命伸びた

また1970年代までのクルマは、錆を含めて耐久性が低かった。屋根のない駐車場に10年以上保管すると、塗装が色褪せて、内装のはく離も生じた。

クルマの平均寿命に相当する平均使用年数も、1970年代後半は約7年半だった。

それが1980年代に入ると平均使用年数が9年に伸びて、2000年には10年に達した。2010年は12年に伸びて、今は13年を超えている。

このように1980年代から1990年代に製造されたネオクラシックカーは、それ以前の車両に比べて耐久性が高く、1車種当たりの生産台数も全般的に増えた。

したがって今でも中古車の流通量が確保されており、価格を含めて手に入れやすい。

その一方で1990年代中盤までに生産された日本車には、エンジン排気量が2Lを下まわる5ナンバー車が豊富にそろう。

1989年の自動車税制改訂まで、3ナンバー車の自動車税は、5ナンバー車の2倍以上に達したからだ。

今のクーペは、軽自動車以外すべて3ナンバー車で車種数も減ったが、25年以上前なら5ナンバーサイズのクーペも豊富に選べた。

今とは性格の違うクルマがそろうことも、ネオクラが注目される理由だ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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