ジャガーC-X17
公開 : 2013.11.05 23:30 更新 : 2017.05.29 18:38
■どんなクルマ?
これまでドライブしたどのジャガーとも異なる視界が目の前に広がる。確かに目の前に広がるフロント・フードの上の力強い膨らみは、いままでのジャガーとはその形状は異なるものだが、ひとめでジャガーであることは解る造作だ。左右それぞれの2本のラインはゆるやかなカーブを描き、フロント・エンドで1本になり、それぞれその先端のヘッドランプの上へと滑り落ちている。そして、そのラインの外側には、マッシブなフロント・ウイングが形作られる。
正式なリリースまでは後2、3年はあろうが、この4WDスポーツ・クロスオーバー・モデルであるジャガーC-X17は、オール・アルミニウム・アーキテクチャーを持ったモデルであり、この先、ジャガーがプレミアム・カー・マニュファクチャラーとして生き残るための重要な使命を持ったモデルなのだ。
このクルマのエンジニアリング・マネージャーであるグラハム・ウィルキンスは、こう語っている。
「このフロント・フードの下にはスーパーチャージャー付きのXKエンジンを搭載することもできる。しかも、4WDも組み合わせられる。つまり、このC-X17には現時点ではあらゆる類のコンポーネンツを積むことができるのだ。今は、どれが最適かを探っているところでもある。」
■どんな感じ?
用心深くクルマに乗り込む。ドア越しに見えるキャビンには、E-タイプを彷彿とさせるシンプルでエレガントなシートが配置されている。またキャビンにはウッドで設えられた部分もあるが、それは目立たぬように使われている。
ペアになったラウンド・ダイヤルが目の前に広がり、背の高いセンター・コンソールがそびえる。そのセンター・コンソールの先端には2つのモニターが上下に並んでいる。そのインテリア・デザインはジュリアン・トムソンの手によるもので、そのカラーリングやトリムはもちろん実験段階のものである。その造りは素晴らしく見えるかもしれないが、細部のフィニッシュはまだまだ粗い。プロトタイプとはこういうものなのだ。
このC-X17プロトタイプに搭載されているエンジンは、XFやXJに搭載されている3.0ℓのスーパーチャージャー・ユニットだ。しかし、エグゾースト・ノートはエンジニアの手によってチューニングが施された状態にはない。何しろ、そのサウンド・ボリュームは非常に大きい。
サスペンションは、ゆるやかなバンプにも驚くほどの反応を見せる。これは23インチのタイヤの影響もあろう。現時点では、安定性よりも見た目の良さから選ばれたチョイスだから致し方ない。しかし、それでもステアリングのフィーリングは非常に良い。
グラハム・ウィルキンスが、このコンパクト・ジャガーのフロント・サスペンションにマクファーソン・ストラットよりも精度のよいダブル・ウィッシュボーンを採用した理由は、実はその乗り心地やステアリングのフィーリングよりも、より低いボンネット・ラインが得られるからではなかったかと、実は私は疑っているのだが。
■「買い」か?
もちろんまだこのC-X17を購入することはできない。われわれも初期のプロトタイプを、ごく短い時間ステアリングを握ったに過ぎない。しかし、その高いドライビング・ポジションから眺めた風景は、今後このモデルが、立派な生産モデルになるに違いないとの確証を得た。
もちろん、インテリアのディテールは実験段階で、この先どうなるかわからない。特に、インテリアはアウディやBMWなどがしのぎをけずっている分野であり、ジャガーもそれに合わせてスープアップしていく必要があるだろう。
あと2年の開発期間の後、C-X17は素晴らしいクルマとして仕上がってくることは間違いない。
(スティーブ・クロプリー)