【日本で使われたドイツ車が高評価】欧州への「逆輸出」が増 日本ならではの理由 情報流通の変化も要因
公開 : 2020.09.12 05:50 更新 : 2022.03.25 18:51
日本国内の輸出業者に話を聞いてみた
例えば、メルセデス・ベンツ500E(1993年登録)は走行距離12万5090kmで約505万円。
少し新しい2009年登録のメルセデス・ベンツE 63 AMGは3万1000kmで約433万円。
いずれも説明書きには、「日本からの輸入」であることが明示されており、整備記録簿の内容が抜粋されて記載されている。
実際にドイツへ日本で使われてきたドイツ車を輸出している日本国内の業者「Elite Auto Export Japan(千葉県千葉市)」に実情を聞いた。
――日本で使われてきたドイツ車がドイツで高い評価を受けていますか?
「日本で使われてきたドイツ車は走行距離が少なく、メンテナンスもしっかりと行われていることが多いので品質も非常に良いです」
「そのような極上の中古車が欧州では信じられないほど安い値段で手に入ります」
「たとえば1997年のポルシェ993。ドイツで乗る人は、おそらくアウトバーンを一生走り続けるでしょう。当然、距離も伸びますね」
「しかし、東京では多くが週末にだけ運転されており、距離は少ないです。97年のポルシェ993、しかもミントを見つけることができます」
※ミント=mint conditionの意味。コンディションが極上の中古車を意味する。
――ドイツに輸出する手間や経費を考えても取引が成立するのですね?
「年式が古いというだけでポルシェでもメルセデスでも格安で入手できますし、輸入に関わる経費も高額な価格ではありません」
「ドイツメーカーが作ったクルマですから手続きもスムースです。そして、ドイツではそんなクルマに対する需要があります」
逆輸出は年々増加 品質以外の要因も
――日本からドイツに逆輸出するのは左ハンドルだけですか?
「はい。わたしが携わってきたドイツ車に関しては左ハンドル車のみです」
――ドイツで人気のある日本からの輸入車はどんな車種ですか?
「90年前後のメルセデス・ベンツSクラス、SLなどと空冷エンジンを搭載していた時代のポルシェですね」
「15年以上経過したものが特に人気があります。理由は、価格と品質のバランスが素晴らしいからです」
それにしても日本から海外に輸出される中古車は年々増え続けている。(逆輸出車はまだまだ少数だが)
この理由は何だろうか? もちろん、品質や価値が認められていることは当然あるだろう。
前出の池谷氏いわく、
「この10年でインターネットの環境が激変し、世界各国から日本の中古車をダイレクトに購入できるようになりました」
「ひと昔前ならデジカメで撮影した車両の写真をPCからメールに添付しエンドユーザーに中古車情報を送る方法以外方法がありませんでした」
「しかし、今はスマホで撮影しながらリアルタイムで映像を全世界のお客様に見せることも可能です」
日本で使われてきたクルマに対する安定した評価に加え、情報入手の方法がひと昔前とは激変したことがついには、「逆輸出」という現象まで生み出してしまったようだ。