【まったく別物】新型レヴォーグ・プロトタイプ サーキットで試乗してみた 「異次元の走り」に嘘はない?
公開 : 2020.09.15 00:00
走らせてみて、数値と実感がシンクロ
雑味のなさは、数値でも明白だ。
スバルが提示した資料によると、乗員の上下振動を他モデルと社内比較したグラフでは、新型STIスポーツのコンフォートの状態は、現行レヴォーグと比べて43%も減少している。同じくスバルグローバルプラットフォームを採用している現行インプレッサと比較してもグラフ上で見る限りざっと2割ほど減少しているのだ。
車内の静粛性も上がっており、「車内の会話のしやすさ」という社内指標で、現行車比で前席で22%、後席で30%も向上している。
軽さについても、数値がある。
車重ではなく、CVTの改良に関する値だ。
トランスミッション開発担当者によると「プーリーのレシオカバレッジを現行の6.3から8.1に変えた。これは最新の8速AT並み」という。
エンジン側で見ると、現行1.6L比で、新型1.8Lは最大トルクが5.1kg-mアップし、さらにトルクの立ち上がりが現行より300rpmほど前倒し。
よって、出足の軽さ感があるのだ。また、高速巡航では「100km/hで200rpm低い」という設定で燃費にも新設定のプーリーが効いている。
走りを進めると、圧倒的なハンドリングの良さを感じる。
滑らかだが、キレがある。
クルマ全体の動きも、ロール量は抑えされても、懐の深さがある。
では、ドライブモードセレクトをSPORT、さらにSPORT+とするとどうなる?
比較試乗を終え最後に出た言葉とは?
独ZF製の電子制御ダンパーの可変で、スバルがいう走りの「キャラ変」が起こる。
足が硬くなるとか、ハンドリングがクイックになるとか、エンジンの吹き上がりが良くなる、といった単純な変化ではない。
体感は、クルマ本体の良さを最大限に引き出すイメージであり、ひと言で表現すると「粘り強く」なる。
また、直角コーナーやヘアピンでは、まるでリアステアが効いているように小回りする。アクティブトルクスプリットの効果だ。
AWDスポーツモードによりアクセルオフ時で後輪への駆動力を高めている。
次いで乗った現行車は、ロール量が大きく、フロントヘビーで、ゆったり動く。そう感じてしまうほど、新型との差は歴然だ。ロールレートでは、現行比で26%減少している。
最後に、GT-Hに乗った。ZF製制御ダンバーは未装着だが、新型レヴォーグとして素性の良さが実感できた。
こうして新旧3台を比較して、最終的に口から出た言葉。
それは……。
「これならロングドライブでも疲れない」だった。なにせ、サーキット走行ですら「疲れない」のだから。
スバルが掲げる、新型レヴォーグの開発の狙いである、技術的な「超・革新」
ユーザーが実感するのは、レガシィのヘリテージを継承する「もっと長く、遠くまで走っていきたい」という気持ち良さだ。