【上級ハッチバック対決】アウディA3 vs BMW 1シリーズ vs メルセデス Aクラス 前編
公開 : 2020.09.21 10:20
質感が落ちた印象のインテリア
ちなみに試乗車の英国での価格は、A200が3万2905ポンド(460万円)、118iは2万7805ポンド(389万円)。A3 35は、2万8205ポンド(394万円)となっている。
まずは見た目から。最新のアウディA3は、上質なインテリアデザインや優れた組み立て品質で、先代からやや点数を落としている。従来まで、高く評価されていた部分だ。
運転席は間違いなく快適で、シートやステアリングホイールの調整域も大きい。バーチャル・コクピットと呼ばれるモニター式のメーターパネルや、10.0インチのインフォテインメント・システムは、技術的に高い印象をインテリアに与えている。
でも、先代ほど印象深い眺めではない。素材感は、明らかに質が落ちたと感じる部分もなくはない。
A3のダッシュボードは、ミニマリズムでソリッドな雰囲気が魅力だった。しかし4代目では、光沢感のあるプラスティックが大きく広がっている。触れてみると、中が空洞だということが伝わってくる。
傷の付きやすそうなプラスティック製のドアパネルが、全体の雰囲気の足を引っ張っている。売れ行きに影響はないかもしれないが、少々残念な部分ではある。
一方でアウディA3は、3台の中で車内空間が一番広く感じられる。リアシートでは、BMWやメルセデス・ベンツよりゆとりのある足回りや頭上の空間を確保している。
メルセデス・ベンツAクラスとBMW 1シリーズは、インテリアデザインでは真反対のアプローチを取っているのだろう。見た目で最も大きな驚きを与えてくれるのは、Aクラスの方だ。
車内の広さと快適性を高めた1シリーズ
2段に分かれたダッシュボードに、ダービン風のエアベント。使用される素材や2面の大きなモニターも、すべてが車内の知覚品質を高めている。
しかし、実際に触れてみるとその印象も変わる。場所によっては指で押すと変形したり、きしみ音を生じることも。全長は3台で最も長いのにも関わらず、リアシートは一番狭いようだ。
BMW 1シリーズは、肉太なMスポーツ・ステアリングホイールの向こう側に、比較的シンプルな造形のダッシュボードが広がる。手で触ってみてもソリッド感が高く、それでいて見た目も悪くない。アウディやメルセデス・ベンツにはない印象だ。
1シリーズは、BMW製のUKL2アーキテクチャと呼ばれる土台を獲得し、大幅に車内空間を広く取れるようになった。FRだった時代の1シリーズは、間違いなく窮屈に感じられたから、評価する人も多いだろう。
ボディの見た目は、筆者には少々垢抜けないように映る。でも、長時間いても快適な車内になった。
プレミアム・ハッチバックとして、実用的でありながら上質なインテリアは、大切な要素の1つ。この分野では、BMW 1シリーズの得点が高いといえる。
そして、さらに重要なのはオンロードでの走り味や洗練性。3台の違いが、より明確になってくる部分でもある。
この続きは後編でご紹介したい。