【ブランドらしさを高めた2代目】ロールス・ロイス・ゴーストへ試乗 6.75L V12 前編
公開 : 2020.09.19 10:20
クルマ版のコンシェルジュ
ゴーストは、クルマ版のコンシェルジュ。基本的には、オーナーの人生をより心地よくし、面倒なことをかわってくれる存在だといえる。
リア・サスペンションには、電圧12Vで稼働するアクティブ・アンチロールバーを採用。カメラ映像から路面の凹凸を読み取り、起伏の接近を判断し、柔軟さを変化させる。
フロント側には、ボディをフラットに保つための、マスダンパーを備える。リアにはステアリング・システムが付く。
ほかにも多くのテクノロジーが、ゴーストを影武者のようにサポートしている。しかし、オーナーはその存在を知る必要はない。
ゴーストはかなり大きい。全長は5546mmで、全幅はミラーを含むと2148mm。先代より、わずかに大きくなっている。
ただし、ドアの防音材などの厚みも増しており、車内スペースに大きな違いはない。といっても、高身長のオーナーがリアシートで快適に過ごすのには十分以上の、空間は用意されている。
身長の高いドライバーの場合、太いBピラーが横方向の視界にかかりそうだ。オプションのリアウインドウのブラインドも、視界を制限する。しかし、外界の目線から隠れたいのなら、むしろ好都合な存在となる。
ロールス・ロイスの最上級、ファントムのオーナーなら派手好きで、細かいことを気にしないかもしれない。しかしゴーストのオーナーは、浪費に対する意識も高く、志向が違う。目立つことは、あまり好まないだろう。
ステアリングを握る音が目立つほど静か
ゴーストのレザー内装は、ステッチは控えめ。ファントムのように、ガラス張りのギャラリーがダッシュボードを飾ることもない。目立たないことに対する、ロールス・ロイス流の仕立て方だ。
ダッシュボードの右端に、小さな星が刻印された、ゴーストのエンブレムがあしらわれる。聞こえより、実際目にする雰囲気はずっと良いはず。
インテリア全体のフィット感や仕上げも、素材の選ばれ方も、見事。筆者の好みでは、メーターパネルはモニター式ではなく、アナログ・メーターが並んでいても良いと思う。
エアコンの送風口は、繊細な金属製。アンビエント・ライトも、贅沢に感じられるかどうかは別として、巧妙にインテリアを演出する。ロールス・ロイスとして、極めて快適だということは、疑いようがない。
車内はとても静か。全体で100kgもの防音材が用いられている。ちなみにファントムは130kg。当初は低音域が少し大きかったそうだが、空気口の処理で軽減させたという。
高速道路の追い越し車線を走っていても、リアシートのオーナーは、フロントシートのドライバーとささやくような声で会話ができる。車内で聞こえる一番大きなノイズは、レザー巻きのステアリングホイールを握る、手のひらが擦れる音くらい。
もう少し直径が大きくて、細いリムの方がファントムっぽいと、筆者は思う。
この続きは後編にて。