【4.0L V8ガソリンで507psを獲得】アウディSQ7へ試乗 並外れたタレント性

公開 : 2020.09.24 10:20

7シーターの大型高性能SUV、アウディSQ7。主要市場の北米に合わせて、V8ディーゼルを捨て、V8ガソリンを獲得しました。507psの圧倒される動的性能と、白眉の洗練性を兼ね備えていると、英国編集部は評価します。

V8ディーゼルからV8ガソリンへスイッチ

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
思想的な分断が顕になっているアメリカだが、とかくクルマの燃料に関しては、考えが一致している。選択は1つ、ガソリン。軽油を選ぶ人は少ない。

そんな嗜好を受けて、アウディはSQ7の心臓をV8のディーゼルから、4.0LツインターボのV8ガソリンへとスイッチした。ポルシェカイエン・ターボからベントレー・コンチネンタルGTまで、共通して採用するユニットだ。

アウディSQ7(欧州仕様)
アウディSQ7(欧州仕様)

アメリカの人たちは歓迎するだろう。一方でアウディは、Sのエンブレムが付くエグゼクティブ・モデルのディーゼル化を進めていた。その流れにも変化があるのかもしれない。

アウディRS Q8の仕様より若干出力が落とされているものの、パワーに不足はない。最高出力507ps、最大トルク78.3kg-mが与えられている。トランスミッションは8速ATで、四輪を駆動する。

四輪操舵システムも標準装備。電圧48Vによるアクティブ・ロールコントロールと、アウディ・スポーツ・リアデフもオプションで選べる。大人7名分の空間も、ちゃんとある。

そのすべてが搭載された試乗車は、極めて滑らかなドイツの一般道で、見事な仕上がりを体感させてくれた。22インチのアルミホイールにエアサスが組み合わされ、滑らかに転がる精度の高さと、優れた乗り心地を叶えている。

車内で感じられる乱れといえば、荒れた路面を低速で通過したとき。それでも遠くの振動が、わずかに感取される程度。

常識の範囲でスピードを上げても、風切り音はほとんど立たない。ロードノイズも同様。管理の悪い英国の道では、どうだろう。

想像以上に強いV8エンジンの存在感

SQ7には、ソフトに路面を処理する、独特の味わいがある。垂直方向の入力を確実に吸収し、揺れを見事に抑え込む。あまりにも快適だから、10時間ほどの長距離ドライブも、一息でこなせそうだ。

インテリアは、上級のアウディへ期待するとおり高級感があり、空間も広々。シートもステアリングホイールも調整幅は大きく、運転席からの視界も良好。

アウディSQ7(欧州仕様)
アウディSQ7(欧州仕様)

インテリア・デザインはスマートにまとめられている。ダッシュボードやドアパネルには、カーボンファイバー製の化粧パネルがあしらわれる。適度な厳格さがあり、モノトーンにコーディネートされた車内は、近年のアウディの高級モデルに共通する特長だ。

2列目シートの空間も余裕。2列目を前方にスライドさせれば、3列目にも大人が座れるだけの空間を生み出せる。少し乗り降りはしにくいけれど。

ダッシュボード中央には2面のタッチモニターが収まる。インフォテイメント・システムの表示はシャープで、反応も良い。運転中の操作には、慣れが必要だろう。オプションで選べる、バング&オルフセン製オーディオの音質にも感心する。

SQ7は、シリアスなほどに速い。回転数を2500rpm以上に引き上げ、ターボブーストを高める。猛烈なトルクの波と、雷鳴のようなサウンドが、ドライバーを襲う。

一部のRSのエンブレムが付くアウディより、エンジンの存在感が強いことも印象的。ダイナミック・モードでアクセルペダルを踏み込むと、低音域が強調された唸りで車内が満たされる。RS6アバントや、RS7スポーツバック以上ではないだろうか。

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