【意外と深刻】タイヤの粉じん対策 英国の学生が装置開発 ジェームズ・ダイソン賞受賞
公開 : 2020.09.28 11:20
クルマのタイヤから生じる粉じんを、静電気を使って自動的に回収する装置を英国の学生チームが開発。ジェームズ・ダイソン賞を獲得しました。タイヤの粉じんを吸い込むと人の健康に影響を与えるため、問題視されています。
深刻な汚染問題に取り組む
英国の大学生チームが、タイヤから生じる粉じんの量を減らす装置を開発し、ジェームズ・ダイソン賞を受賞した。この賞は革新的な発明に贈られる。
インペリアル・カレッジ・ロンドン(理工系)とロイヤル・カレッジ・オブ・アート(美術大学)の学生、シボーン・アンダーソン、ハンソン・チェン、ディパック・マルヤ、ヒューゴ・リチャードソンによって作成された「Tyre Collective(タイヤ・コレクティブ)」は、静電気を利用して、クルマのタイヤから排出される粒子を収集する装置である。
学生チームによると、この装置をホイールに取り付けることで、回転するホイール周りの気流を利用して、タイヤから生じた空気中の粒子を最大60%まで回収できるという。
タイヤによる汚染は深刻な問題ではあるが、比較的研究が進んでいない分野でもある。加減速やカーブを曲がるたびにタイヤが摩耗し、大気中に粒子が放出され、人間がそれを吸い込むと健康を害する。
道路交通によるPM2.5汚染の最大50%を占めており、このような汚染は電気自動車では解決できないと言われている。
むしろ、EVが増えればタイヤの汚染が増加する可能性がある。バッテリーによる重量増により、従来のエンジン搭載車よりもタイヤにかかる負担が増えるからだ。
今回作成された装置によってとらえられた粒子は、新品タイヤにリサイクルしたり、インクなどの他の材料に変えたりすることができる。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の専門家であり、ジェームズ・ダイソン賞の審査員でもあるソフィ・トーマスは次のように述べている。
「わたし達は、タイヤからマイクロプラスチックが排出されるという喫緊の課題に取り組む彼らの創造的かつ革新的なThe Tyre Collectiveに、満場一致で魅了されました」
「この協力的で学際的なチームは、疑問を抱き、挑戦し、これらの地球規模の問題の解決策を模索する際に、デザインと探求の重要な役割を実証するアプローチを構築しました」
学生チームは、ジェームズ・ダイソン賞とともに2000ポンド(27万円)の資金を獲得した。彼らはこの資金を使って、持続可能な方法で発明品を商業化する予定だ。