【フェアレディZも見れる!】日産パビリオン横浜 オンライン新車販売/ディーラー網再編につながるか
公開 : 2020.09.19 05:50
ジャガー・ランドローバーにみる新車オンライン販売
クルマのオンライン販売といえば、最近では中古車をスマホのアプリで購入する人が増えるなど、以前に比べてユーザーの気持ちのハードルは下がっている印象がある。
また、自動車メーカー側も新車のオンライン販売に対する積極的な発言が目立つようになった。
例えば、ジャガー・ランドローバー本社が7月3日、一部メディア向けに行った「コロナ後のモビリティの未来」というオンライン説明会で、同社の商品開発責任者のニック・ロジャース氏は次のように話している。
「衣料品や飲食関連で起こっている需要は新車でも当然起こる」
これは単なる一般論ではなく、同社としては今後、通信によるコネクテッドサービスを強化する上で、オンラインでの新車販売は必須だという考え方を示したものだ。
同社はこの説明会の前日、定額での新車乗り換えができるサブスクリプションモデルサービス「PIVOTAL」を発表している。
今後は、新車オンライン販売や「PIVOTAL」など様々な方法で、メーカーがユーザーに直接コンタクトし、ユーザーに関するデータを把握するシステムに移管することを示唆した。
こうして文脈で考えると、日産パビリオン横浜は、新車オンライン販売に向けた布石にもなり得ると思う。
結果的に中国の事例に似ている?
日産がいう、「あなたの想像を超える未来」とは、完全自動運転車が街中を走り回ったり、自宅で音声認識によって移動を含めた様々なサービスができる、といった類ではないはずだ。
こうした未来社会のイメージは、メディアや各種イベントを通じて、ユーザーはすでに承知しており、「想像を超えた未来」という表現は当てはまらない。
ユーザーにとって、クルマに対する「想像を超えること」として、最も分かりやすいのは、クルマの売り方、買い方、使い方が根本的に変わることではないだろうか。
海外での過去事例を挙げると、2000年代に日産がディーラーがない中国内陸部で展開した活動がある。
大型トラック数台に新車や機材を搭載するキャラバン隊を仕立てて、各地でミニモーターショーを開催した。販売する場合は、ネットや電話を駆使して、近隣のディーラーが対応した。
今回の日産パビリオン横浜は、イメージや手法としては違うが、結果的に中国キャラバン隊と目指す方向性は同じに思える。
むろん、既存ディーラーの大幅再編や、メーカーとディーラーとの契約条項の書き換えなどが必要になるだろう。
起死回生を目指す日産にとって、日産パビリオン横浜をどのように使われるのか?
その動向をしっかり追っていきたい。