【なぜ1代かぎりで終焉?】三菱アイミーブ、EV花盛りなのに生産中止の背景 ミニキャブ・ミーブ存続のワケ

公開 : 2020.09.19 12:02  更新 : 2021.01.30 21:31

三菱アイミーブの使命は終わっていた

アイミーブは世界約50か国で販売されたが、発表して間もない頃、仏パリモーターショーとニューヨークモーターショーでは、一部メディアによる公道試乗会が催され、筆者も参加した。

試乗の感想としては、「ズッシリして上級感がある」だった。逆に言えば、ベースとなった軽自動車「i」はリアエンジンの軽量ボディであり、その車両床部に大型電池パックを搭載したことで、クルマとしての運動特性が大きく変わっていた。

海外メディアからも「大手メーカーのEVは、走りの質感が良い」と評判は上々だった。

一方、日本では経済産業省が旗振りした、都道府県が主体で行った電動車普及施策「EV/PHVタウン構想」がきっかけとなり、官公庁を中心にアイミーブの普及が一気に進んだ。

そうした各所での取材シーンを思い浮かべると、アイミーブはEV新時代を具現化するための先駆者だったと改めて思う。

その後、アイミーブのEV制御技術や部品はミニキャブ・ミーブと「アウトランダーPHEV」で活用されていく。

だが、三菱の経営再建の中で、電動化開発の予算は限定的であり、アイミーブの進化も事実上、ストップしてしまった。

そこに日産がやってきた。軽自動車の企画で合弁企業NMKVを設立。また、電動化事業の全般もリーフによる量産効果を優先し、企画・開発・部品購買の主導権は日産に移った。

この時点でアイミーブの使命は終わっていた。

ミニキャブ・ミーブ、なぜ生き残る?

次世代軽EVとして、NMKVでは日産「IMk」の開発が進むが、そこにはアイミーブ初期開発者も携わり、三菱のEV魂を投入している。

一方、次期アウトランダーは、次期エクストレイルが主体で開発される兄弟車として登場する可能性が極めて高く、三菱が培ったアイミーブ由来のPHEV技術が反映されるのか、それともされないのか?

どちらにしても、前述のようにルノー日産三菱アライアンスの中で、中型車での電動化技術の主役は日産であることは間違いない。

こうした状況の中で、なぜミニキャブ・ミーブは生き残ったのか?

これは、近年になり大手事業者がESG投資(環境・社会・ガバナンスを主とする企業業績判断による投資)に対して関心が一気に高まっており、いますぐ導入できる商用EVとしてミニキャブ・ミーブに注目が集まっているからだ。

例えば、東京電力が中心となり2020年5月、電力メーカーや自動車メーカーなど約40社で「電動車活用推進コンソーシアム」を設立しているが、東京電力EV推進室によると「軽をベースとしたEV需要への期待が大きく、メーカー各社と新規開発について今後、協議していきたい」と話している。

次世代商用EVを含めた新世代EVに向けて、アイミーブは大いに貢献してきたと思う。

アイミーブ開発に携わってきた皆さんに、自動車産業に携わる者として心から感謝したい。

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