【狙い目グレードは?】トヨタ・ヤリス・クロス試乗 ガソリン/ハイブリッド/4WD性能を評価 どっちがオススメ?

公開 : 2020.09.24 05:50  更新 : 2021.10.09 23:25

ガソリン仕様 3気筒/高速性能

ガソリン車/ハイブリッド車ともに搭載エンジンは、1.5Lの3気筒ダイナミックフォースエンジン。低中負荷域の応答性とドライバビリティ、燃費のよさが特徴である。

ヤリスより1割近く増加した車重が気になるところだが、実用動力性能については車重増の悪影響をほとんど感じなかった。

トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZの前席内装(ダークブラウン:合成皮革+ツィード調ファブリック)
トヨタヤリス・クロス・ハイブリッドZの前席内装(ダークブラウン:合成皮革+ツィード調ファブリック)    池之平昌信

ガソリン車のCVTの変速比は、タイヤ周長を含めた総減速比でヤリスとほぼ同じ。

しかし、100km/h平地巡航回転数は、メーター読みで約1900rpm。緩加速でのダウンシフト・タイミングも早く、ヤリスよりも回し気味の変速制御。

急加速を除けば4000rpm以下で済ませるので無駄回し感や非力感はないのだが、トルクで引っ張っていく感覚は減少している。

ただし、3気筒の爆発間隔は4気筒の25%減。爆発間隔では3気筒の2000rpmは4気筒の1500rpm相応。

エンジンフィールのパルス感は強くなるものの、コンパクトSUVとしては高速域の余力感もトップクラスだ。

HV仕様 好印象/悩ましき点

ハイブリッド車は、ガソリン車よりも1ランク上の力強さ。細かなアクセルコントロールに対する追従性もよく力感溢れるドライバビリティ。

だからといって、瞬発力強調などの余計な演出がないのも好感が持てる。

トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×シルバーメタリック/Eフォー)
トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×シルバーメタリック/Eフォー)    池之平昌信

興味深いのはエンジン回転数管理。エンジン稼働時はガソリン車の巡航回転数よりも高め。

エンジン騒音が低く保たれ、頻繁にエンジン停止(電動走行)するのでゆとりあるドライブフィールなのだが、従来のトヨタ1.5Lハイブリッドより制御がシリーズHV的になった印象を受けた。

重量増のハンデを感じるのは燃費。

車載計の簡易燃費計測では、都市高速でWLTC高速モードの数値とほぼ同じ数値。ヤリスより1割以上低下している。

SUVとしては圧倒的な低燃費だが、実用2BOXとしてヤリスからのステップアップを考えているユーザーには悩ましい点である。

4WD性能の評価は?

4WDシステムはガソリン車が電子制御カップリング式、ハイブリッド車がEフォー(E-Four)を採用。

Eフォーの後輪駆動ユニットはGA-Cプラットフォーム以下に採用する小出力誘導モーター型。後輪駆動を発進時のアシストに限定したいわゆる生活四駆タイプである。

ヤリス・クロス・ハイブリッドのEフォー仕様
ヤリス・クロス・ハイブリッドのEフォー仕様    池之平昌信

トヨタ・スモール&コンパクトでは標準的だが、パワートレインとブレーキ式LSD制御の統合制御モードによりラフ&オフロードの踏破性の向上を図っているのが特徴である。

ガソリン車にはマッド&サンドとロック&ダート、ハイブリッド車にはスノーとトレイルが設定され、各モードの前者は駆動トルク制御とブレーキ式LSDの効きが穏やか、後者は強くメリハリよく制御される。

片側ローラーのスプリットμ路や対角輪が浮くようなモーグル路での発進を試してみたが、ノーマルモードでは両モデルとも空転スタック。

ハイブリッド車のスノーではタイミング次第、同トレイルとガソリン車のマッド&サンドはちょっと苦労しながらも問題なく、ガソリン車のロック&ダートは危なげなく、という結果。

また両モデルとも前後進で作動するDAC(緩降坂制御)を装備。ガソリン車なら中級クラスのオフロードコースは踏破できそうだ。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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