【フェラーリ/ランボでなく】マクラーレン選ぶワケ 英国本社と意見交換 日本で720Sに乗って感じたこと

公開 : 2020.09.21 12:02  更新 : 2020.10.02 22:00

軽量化 パワーウエイトレシオ重視

あたかもクルマの中心線上にドライビングポジションがあるような感覚を得た。

唐突な比較に聞こえるかもしれないが、こうした感覚は、ここから見て瀬戸内海の向かい側、広島で開発されているマツダロードスターの「人馬一体」に近いようにも思える。

マクラーレン720S
マクラーレン720S    マクラーレン

むろん、エンジン搭載位置が違い、パワー&トルクの差は圧倒的。だが、両者の間には、感性という意味での共通点が見え隠れする。

背景にあるのは「軽量化」に対するメーカーの拘りだと思う。

実際、720S試乗の前日、英国マクラーレン・オートモーティブ本社のイアン・ホーシェルとオンライン会議のなかで、720Sに限らず、マクラーレンのクルマ造りの「軽量化によるパワーウエイトレシオの重要性」を何度も口にしていた。

ドライバーとクルマの「エンゲージメント(強固な繋がり)」という、マクラーレンブランドのキーコンセプトに直結し、その目的達成のため、マクラーレンはフルカーボンシャシーを用いる。

このシャシーという解釈こそ、マクラーレン・オートモーティブの真骨頂。レーシングコンストラクターというヘリテージに裏打ちされている。

クルマとしてのトータルバランスを見た時、フェラーリランボルギーニと比べてシャシーの存在感が強いのだ。

だがそれはあくまでも理論上での表現に過ぎない……。

この感じ、他に類がない 凄みの中身

ワインディングを抜け、しなまみ街道をクルージング。

走れば走るほど、乗り手の感性が研ぎ澄まされてくるように感じる。

マクラーレンのファクトリー。
マクラーレンのファクトリー。    マクラーレン

頭の中が、カラダ全体が、とても開放的に、自然体になっていくのがわかる。

スーパーカーに乗ることでの緊張感、または、ある種の虚栄心といった部類の感覚はない。

前出の正本代表は「日本でもマクラーレンのユーザーは、旅行などでかなり遠出される方が多い」と指摘したが、なるほど、その意味がよくわかる。

広島県尾道市・生口島の瀬戸田サンセットビーチで、「720Sスパイダー」に乗り換え、日差しを浴びながら走る。

すると、重量は720S比で僅か49kg増ながら、走りのキャラクターが720Sよりも少し丸みが帯びた印象がある。こちらの感性が研ぎ澄まされたからこそ、作り手が拘った差をしっかり感じ取れる。

マクラーレンと聞くと、F1レースのイメージが強い。

そうした日本人が大勢いる。

そのため、マクラーレンが手掛けるスーパーカーに対して、凄い走りを妄想してしまう。

実際、その走りは凄い。

ただし、ハイパワー、ストレート&コーナーリングでのハイスピードという文脈だけではなく、数値の上では極めてハイスペックながら「作り手の感性と、乗り手の感性が自然体で融合する」ところが、凄い。

この感じ、他に類がない。

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