【EA888型4気筒ターボで310ps】アウディS3 スポーツバックへ試乗 4代目へ進化
公開 : 2020.09.27 10:20
ハイエンド・ホットハッチとしてBMW M135iやメルセデスAMG A35などと対峙する、アウディS3。4代目でも、四輪駆動と2.0LのEA888型エンジンをパッケージ。従来どおり、優れた動的性能を獲得しています。
もくじ
ーEA888型2.0L 4気筒ターボで310ps
ーダンパーや四輪駆動システムを統合制御
ー走り出した直後から得られる操る自信
ー新しいRS3への期待も高まる
ーアウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)のスペック
EA888型2.0L 4気筒ターボで310ps
1999年、クワトロ社の技術者によって生み出された初代S3。標準のA3が上級ハッチバックとして認知を広める中で、S3はホットハッチ以上に高性能なハッチバックとして、新ジャンルを生み出した。
四輪駆動とMTを組み合わせ、最高出力は210ps。パワフルでコンパクトなハッチバックは、グループB時代のスポーツ・クワトロを想起させた。ランチア・デルタ・インテグラーレなど、ラリーマシンに熱くなった記憶を持つドライバーを再燃させた。
初代アウディS3の登場以降、多くの高性能ハッチバックが発表されてきた。しのぎを削るように、動的性能は右肩上がりだ。
2020年の今では、メルセデスAMG A45 Sが搭載するのは、421psの2.0L4気筒ターボ。わずか2000cc足らずの排気量からこれほどの馬力をひねり出すのだから、感心してしまう。
間もなく登場する次期RS3は、間違いなくメルセデスAMGへ容赦ない戦いを挑むはず。それまでは、最新のS3がアウディ製ハッチバック、A3の先鋒を守ることになる。
最新の4代目S3のルックスは従来どおり、標準のA3へ手が加えられたもの。乗員空間は充分に広い。鮮烈なパイソン・イエローのボディが、ひときわ目を引く。少し見慣れた感じもなくはない。
エンジンは、2.0LのEA888型と呼ばれる直列4気筒ターボ。以前のS3だけでなく、フォルクスワーゲンTロックRなどにも積まれる名ユニットだ。最高出力310ps、最大トルク40.7kg-mを発揮する。
ダンパーや四輪駆動システムを統合制御
駆動方式は、電動油圧クラッチをベースとする四輪駆動のクワトロ。トランスミッションは、7速デュアルクラッチATのみ。MTは随分以前に廃止されている。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同様に、S3がベースとするのは改良版のMQBアーキテクチャ。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式が選ばれた。
車高は通常のA3より15mm低い。ダンパーは、標準では固定タイプだが、オプションでアダプティブ・ダンパーも選択できる。試乗車には装備されていた。
スペック的には、3代目でも見慣れた内容に思える。本当に新しいS3と呼んで良いのか、疑問を持たなくもない。
少なくとも、四輪駆動システムのクワトロは、軽い手直しが加えられている。アダプティブ・ダンパーは、3代目で採用していたマグネティック・ライドではなく、通常の油圧システムへ改められた。
スーパーカーのR8にも採用されるマグネティック・ライドだが、ファミリー・ハッチバックのS3にはスポーティ過ぎる、と判断された。日常生活との親和性を高めた、とアウディは主張する。筆者が察するに、コスト削減も前提に合ったはず。
新しいアダプティブ・ダンパーは、四輪駆動システムやブレーキによるトルクベクタリング・システムなどとあわせて、コントロール・ユニットで統合制御される。先代までは、デバイスそれぞれが独自に設定を変化させていた。
スポーティで機敏なハンドリングを獲得した、とアウディは説明する。