【EA888型4気筒ターボで310ps】アウディS3 スポーツバックへ試乗 4代目へ進化

公開 : 2020.09.27 10:20

走り出した直後から得られる操る自信

アウディS3は以前から、信じられないほど容易に速く運転できるクルマだった。新しい4代目でも、それは当てはまる。

0-100km/h加速に要する時間は4.8秒。瞬発力は、その数字を疑わせないほど力強い。

アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)
アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)

アクセルペダルの踏み始めでは、わずかなターボラグが生じる。しかし、2500rpmを超える頃には、S3は本領を発揮。蹴飛ばされるような勢いで速度を増していく。

中回転域のエネルギッシュさは特に顕著。レッドラインに当たるまで、たくましさは衰えない。間髪入れず、7速デュアルクラッチATがシフトアップ。また中回転域のパワーを楽しめる。

放たれるサウンドは、さほど興奮を誘うものではない。しかし、筋肉質な音色には聞き入る魅力もある。

高速域へは、あっという間に到達する。S3のシャシーは、高い速度域を保った走りを支えてくれる。ダンパーを最も硬い設定にすれば、縦横方向のボディの動きは抑え込まれる。グリップ力も相応に高い。

ステアリングの反応は、切り始めで期待ほどクイックではないものの、負荷が増えるにつれて適度に重さを増していく。コーナー外側のタイヤがどんな状況にあるのか、鮮明に手のひらへ伝えてくれる。

ホットハッチとして、ワイルドさを感じさせる特長は控えめ。そのかわり、走り出した直後からドライバーへ操る自信を与えてくれる。

新しいRS3への期待も高まる

熱い運転を楽しんだ後は、気持ちを落ち着かせて穏やかに走りたくなる。ダンパーをコンフォートに戻せば、お腹への衝撃は優しくなる。姿勢制御は緩くなるものの、うねりや隆起部分を超えても、柔軟性を感じるようになる。

わだちを通過した限りでは、不満なく対処できているようだった。指摘するような乱れもなく、舗装状態の悪い英国の道でも、納得できる乗り心地が得られるかもしれない。改めて試してみたい。

アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)
アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)

新しいアウディS3の英国価格は、3万7900ポンド(515万円)から。比較すると、メルセデスAMG A35は3万8360ポンド(521万円)で、BMW M135iは、3万7470ポンド(509万円)。ライバルモデルとの走りの比較も、機会を設定したいところだ。

先代までの強みだったインテリアには、優位性がなくなっている。メルセデスAMGの車内は、視覚的な訴求力が高いし、BMWはソリッドで堅牢な雰囲気がある。どちらも新しいS3には欠けている部分だと思う。少々残念だ。

4代目アウディS3は、磨き込まれたドライビング体験を得られる、素晴らしいハッチバックのまま。一般的にかなり攻め込んだ速度域での走りも、造作なくこなしてしまう。

このあとに続く、新しいRS3がどんなクルマに仕上がるのか、期待も高まる。上質なインテリア素材と、より高いダイナミクス性能は獲得してくるだろう。エンジンは、例の5気筒ターボが載るはずだ。

アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)のスペック

価格:3万7900ポンド(515万円)
全長:4351mm
全幅:1816mm
全高:1438mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:12.5km/L
CO2排出量:183g/km
乾燥重量:1500kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:310ps/5450-6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000-5450rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事