【小さな四つ葉のクローバー】アルファ・ロメオ145クワドリフォリオ 英国版中古車ガイド
公開 : 2020.09.28 06:20 更新 : 2022.08.08 07:37
1995年から2000年に、アルファ・ロメオが生み出した145。きれいな四つ葉のクローバーを見つけるのは大変ながら、アルファらしい楽しさが得られるホットハッチです。今から探す中古車の注意点を英国編集部が解説します。
155由来エンジンのホットハッチ
世界的に名を馳せる、カーデザイナーのクリス・バングル。成功は間違いないが、その作品は好き嫌いを二分するものでもある。
フィアット・クーペ、BMW Z8、ロールス・ロイス・ファントム。クルマ好きがスタイリングの話しを始めたら、意見は大きく別れてしまうだろう。一方で彼の初期の作品、アルファ・ロメオ145なら、否定的な意見は少ないはず。
低く姿勢を整えたプロポーションは、もともとはランチア・デルタとしてデザインされたもの。成長の勢いがあったファミリー・ハッチバック市場へ、トリノ・ブランドがリリースを計画。4年をかけて開発されたモデルだ。
いま見かける同年代のフォード・フィエスタやオペル・コルサと比較すると、アルファ・ロメオ145は台数がはるかに少ない。しかし容姿は優れ、クルマ好きはその存在をちゃんと理解している。
特に145で狙いたいグレードが、四つ葉のクローバー、クアドリフォリオ。自然吸気の2.0L 16バルブ4気筒ツインスパーク・エンジンは、一回り大きいアルファ・ロメオ155と共有する。
可変バルブタイミング機構を備え、初期のクルマで150ps、後期のフェーズ2で155psを発揮。トランスミッションは5速MTで、前輪を駆動した。
0-100km/h加速時間は、当時としては優秀だった8秒ちょっと。最高速度は207km/h。1.5Lのマツダ・ロードスターといい勝負をする数字だった。
希少性は高いものの価格は手頃
シャシーは、当時の自動車評論家から高い評価を集めた。標準の145の、フィアット・ティーポ譲りのサスペンションはアップグレード。機敏なターンインを得つつ、トルクステアを最小限に抑え、FFホットハッチとして異例なほど優れた特性を獲得している。
ダッシュボードのデザインはやや古く、着座位置も高め。しかし、紛うことなきドライバーズカーだった。現在でも残る状態の良い145は、希少性から注目度も高い。
ホットハッチが多い英国でも、アルファ・ロメオ145クアドリフォリオの残存台数はわずかに270台程度。同時期の3代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは約4000台だから、その差は歴然だ。
見つけるのは難しい。しかし価格は、まだ手に届く範囲にある。
AUTOCARでも、1990年代のホットハッチの希少な選択肢として、2010年に試乗。走行距離26万5000kmも走った145の動的性能に、感銘を受けている。厳しいコーナリングで、フィラーキャップからガソリンが滲んでいたけれど。
2010年以降、近年まで取引価格に大きな変化はない。希少性は高まっているのに、145クアドリフォリオは、英国なら1500ポンド(20万円)程度から見つけられるのだ。
ガレージに収まる145は、とても見栄えが良い。しかし適切なメンテナンスを怠ると、そこから動いてくれなくなってしまう。注意して車両選びをしたいところだ。