【変わらない最高】ホンダ・シビック・タイプRへ試乗 小変更 2バージョン追加 前編
公開 : 2020.10.01 10:20 更新 : 2020.12.14 16:00
エンジンは2.0L 4気筒ターボで320ps
ホイールは10kgも軽量なBBS製の鍛造品。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を履く。バネ下重量が軽くなり、タイヤのグリップ力が増すため、ダンパーとステアリングの設定も微調整されるという。
軽量化のために、インフォテインメント・システムやエアコンは装備されない。防音材も大部分が省かれている。その結果、標準のタイプRから、全体で47kgの軽量化を果たしている。
それ以外の部分は、3バージョンともに従来どおり。エンジンは320psを発揮する2.0Lの直列4気筒ターボ。トランスミッションは6速マニュアルで、LSDを介して前輪を駆動する。
マイナーチェンジ後のタイプRといっても、フィーリングはこれまでのものと似ている。それで問題ない。非常に高速で楽しいホットハッチの登場が相次ぐ中で、いまだにシビック・タイプRは、その頂点に属する1台だ。
今回試乗したのは、英国市場ではフラッグシップとなるGTと呼ばれるグレード。しかし、違いはちゃんと感じられた。
初めに気づくのは、6速MTの操作性が良くなっていること。形状や重さが煮詰められたアルミニウム製のノブが、より爽快なシフトアクションを生んでいる。従来のノブより握りやすい。
ストロークは短く、機械的な感触が心地良い。無心になって、前後へスライドできる。アルカンターラ巻のステアリングホイールも、手のひらの収まりがイイ。
改良を受けたブレーキとサスペンション
ブレーキも良くなった。ペダル踏み始めの噛みつきが良く、力を込めるほどに漸進的に制動力が高まっていく。ペダルを介してブレーキの強さを完璧に調整できる。ドライバーの操作や力の込め具合へ、正確に応えてくれる。
コーナー手前でブレーキペダルを深く踏み込み減速し、旋回に合わせて徐々にブレーキの圧を抜いていける。一連の操作感は滑らかで、流れるようにこなせる。
サスペンションも改良を受けているが、変化は小さい。コンフォート・モード以外では硬めの設定ながら、まだ許容範囲に収まっている。
緩いコブが出ているような、英国オックスフォードシャーの滑らかな路面でも、タイプRは見事な足さばきを披露する。ただし細かい入力が加わると、少し落ち着きがなくなる場面がある。不快ではなく、シャープな入力はしっかり丸め込まれている。
試乗車が履いていたのは、20インチのホイールに薄いタイヤだったことを考えると、印象的に乗り心地は良いといえる。従来どおり、9割の時間はコンフォート・モードを選んでいれば大丈夫だろう。
限界の80%くらいまで許容でき、見事に路面と呼吸をあわせながら、フラットにコーナーを抜ける。加えて速い。軽めの操舵感は、好き嫌いが出そうだが、ステアリングの反応は漸進的。フィーリングも豊かだ。
この続きは後編にて。