【過小評価の英国MRスポーツ】 MGF/MG TF 英国版クラシック・ガイド 掘り出し物も

公開 : 2020.10.10 07:20  更新 : 2020.12.08 08:38

MGブランドとして、現在最後のスポーツカーとなっているのがMGF。将来的にはクラシックとして、高い評価を得る可能性もあります。一方で注目度は低く、掘り出し物も見つかるとする英国編集部。その楽しみ方を見てみましょう。

今後値上がりする可能性は大きい

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
楽しさと実用性を兼ね備えた、価値あるミドシップ・スポーツのMGF。経済的でもあり、信頼性も悪くない。多くのクルマが、誕生から25年を過ぎようとしている。

同じエンジンを採用するミドシップのロータス・エリーゼは、取引価格も上昇中。一方で価格が低調なMGFは、充分な修理を受けられず、多くがスクラップ工場へ送られている。

MGF/MG TF(1995年〜2012年/英国仕様)
MGF/MG TF(1995年〜2012年/英国仕様)

まともな状態の残存数は、間もなく需要を切ってしまうと考えられる。中国資本となったNAC製の最終型TFを除いて、MGFシリーズの価格が下がることはないだろう。

英国の由緒正しいスポーツカー・ブランド、MGの救世主として待望されていたMGF。多くのドライバーに愛された。個性的なスタイリングはフレンドリーでもあり、人気を集めた。いま見ても、デザインは悪くない。

軽量でパワフルなKシリーズのツインカム・エンジンは、不足ない瞬発力を与えている。可変バルブ・コントロールを備え、当時のホットハッチに並ぶ性能を持っていた。

ミドシップ・レイアウトは、優れたロードホールディング性能を目指して設計されている。安全マージンを残しつつ、楽しい操縦性を実現している。

車内は大人2名には充分広く快適。幅広い内装トリムやオプションが用意され、多様なオーナーの要望をまかなった。

発表当初は、多くの称賛を集めたMGF。しかし自動車評論家たちは、一般道重視の設定に満足しなかった。

キレの良いステアリングと機敏なシャシー

MGブランドを保有していたローバー社としては、初めての手頃な価格のミドシップ。アクセルオフでリアが急激に流れるスナップ・オーバーステアを警戒し、優れた乗り心地とハンドリングを両立させるという、多少の妥協があった。

さらに先進的な電動パワーステアリングを採用し、ステアリング・フィールもイマイチ。1999年にはオプションでステップトロニック付きのCVTを追加するが、性能は落ち、充分な人気は集められなかった。

MGF/MG TF(1995年〜2012年/英国仕様)
MGF/MG TF(1995年〜2012年/英国仕様)

1999年にマイナーチェンジを受け、車内を改良。ステアリングの感触も改善されている。

2002年にはMG TFが登場。モノコックは強化され、スタイリングはシャープに。ステアリングの応答性も高められている。

エンジン回りではインテークが改良され、ホットなカムを搭載。ローバー・メトロ由来のハイドラガスは廃止され、一般的なコイルスプリングと、リア側でマルチリンク式サスペンションを獲得している。

MG TF系のモデルには多くのオプションが用意された。115は1.6Lエンジン、120では1.8LにCVT、160では1.8LにVVCという特徴がある。

ベースグレードの1.8iでもパフォーマンスは充分で、初期の1.8VVCやTF 135では活発。トロフィーやTF 160なら速い。一方で初期の1.6iやTF 115は活気に欠ける。しかし、ハンドリングは充分楽しめる。

2008年後半には、中国資本のNAC MGが、TF LE500を発表。AUTOCARでも、キレの良い正確なステアリングと、機敏でバランスの取れたシャシーを評価している。

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