【元祖スーパーSUV】 ランボルギーニLM002 カウンタックのV12に四輪駆動 前編
公開 : 2020.10.11 07:20 更新 : 2020.12.08 08:38
カウンタック由来の5.2L V型12気筒
フロントエンジンへと一新したランボルギーニ・ミリタリアだったが、初の量産版が登場するまでには、さらに4年を必要とした。チーターの登場から10年余り、ベルギー・ブリュッセルでの発表となった。
姿を見せたLM002は、LMAも採用していたチューブラー・スペースフレーム・シャーシが特長。エンジンがフロントに搭載されることで、操縦性もオフロード性能も大幅に改善していた。
エンジンはランボルギーニ・カウンタック・クアトロバルボーレ由来の5.2L V型12気筒。フロントノーズに縦置きされ、ZF社製の5速MTが組み合わされた。
最高出力は、デトロイト製V8エンジンの2倍以上。燃料タンクは290Lもあった。
インテリアは、軍用前提だったチーターの質実剛健な雰囲気を一新。レザー張りのシートにウール製のカーペット、エアコンを備え、上級志向のモデルへ仕立てられた。
今なら人気を得そうに思えるが、当時12万ドルを超える価格と2.8km/Lという驚異的な燃費の悪さで、販売は低調。10年ほどの生産期間で、241台が売れている。ランボルギーニがチーターの量産版を生み出すという目的は、カタチ的には達成された。
今回登場いただいたランボルギーニLM002は、ドランブイ・コレクションの1つだったクルマ。人気番組、BBCトップ・ギアにも登場した過去がある。
しかしコレクションから手放されると、状態は悪化。新しいオーナーが、完全なリビルドを実施している。
一度バラバラになったLM002をリビルド
作業は難航し、途中で受け継いだベル・スポーツ&クラシック社が完成まで仕上げている。英国ハートフォードシャーのエキゾチック・カー専門店だ。そのプロジェクトを率いたのは、イタリア人のアッティリオ・ロマノだった。
「LM002は、いくつかのボックスに分解されて届きました。エンジンの前部分はなく、プーリーもマニフォールドも付いていませんでした。すべてバラバラでしたね」。と振り返るロマノ。
「ウォーターポンプは吊り下げられた状態で、取り外そうとした段階でダメージを受けていました。その修正だけで、数週間は掛かっています。一般的なウォーターポンプと異なり、ベアリングやシール、インペラーなどすべて交換しています」
「バラしてみるとダメージは想像以上。ベアリングやシールは、そのまま付かないほど。カウンタック用のエンジンですが、仕様が異なり、部品も出てこない。最終的にコベントリーの職人へ、計測した数値で再製造を依頼しています。相応の費用が掛かりましたが」
ロマノが説明を続ける。「サスペンションもくたびれていて、分解してクリーニングし、パウダーコーティングしてあります。最大の問題はスプリング。左右対象に巻かれたコイルが1本ずつ、それぞれ2本付いているんです」
「そのコイルを外す作業は、悪夢のようでした。古いブレーキディスクやホイールスペーサー、ロッドを用いて、オリジナルのスプリング・コンプレッサーを作りました」
「ブレーキキャリパーも、ディスク1枚につき2つ。全部オーバーホールに出しています」
続きは後編にて。