【エネルギーの常識を変える】ジャガー・ランドローバー 水素燃料の大型SUV 生産化を目指す
公開 : 2020.09.29 11:32 更新 : 2022.11.01 08:42
JLRが、水素燃料の研究に取り組んでいることがわかりました。再生可能エネルギーで供給される水素電力は、今後10年間でコストが下がると予想されています。大型SUVへの搭載をめざすそうです。
本格的な水素燃料研究プロジェクト
ジャガー・ランドローバー(JLR)は、燃料電池パワートレインを積む大型モデルの開発を目的とした、本格的な水素燃料研究プロジェクトに取り組んでいる。
プロジェクト・ゼウス( Project Zeus)として知られるこの研究が成功すれば、次世代型レンジローバー・イヴォークが登場する頃には、燃料電池技術は生産モデルに使用可能となるだろう。
将来的には、より大きなモデルのゼロエミッション・バージョンとして採用されるようになるわけだ。
同社は現在、ジャガーIペイスに続いて、新型「ジャガーXJ」を含む、いくつかのバッテリー電気自動車(BEV)に取り組んでいる。
英国政府が、2035年までに内燃モデルの販売を禁止する計画を立てているため、水素燃料が、パワートレインの1つのオプションとなる可能性があるからだ。
同社のプロダクト・エンジニアリング・チーフのニック・ロジャースは、先日のオンラインイベントで、プロジェクト・ゼウスは「非常に重要だ」と説明している。
ロジャースは、運転可能な水素燃料電池コンセプトカーを、間もなく発表するだろうと付け加えている。
「環境への影響を最小限に抑えることのできる、適切な駆動システムを探しています」とロジャースは述べている。
「素晴らしいサポートを得て、開発と投資を行っています。水素は、ラインナップのキーとなるでしょう」
大型モデルへの採用を検討
まだ初期段階であり、水素パワートレイン技術の開発に重点が置かれているが、プロジェクト・ゼウス初のコンセプトは、イヴォーク・サイズのSUVとなる可能性が高い。
この技術は、とくにランドローバーの大型モデルへの採用が、検討されている。
レンジローバー、レンジローバー・スポーツ、およびレンジローバー・ヴェラールは、サイズが大きく、長い航続距離、幅広い用途が求められており、水素燃料にも適している考えられている。
水素パワーは、タフなオフロードモデルの人気が高く、BEV向けの充電インフラが限られている国・や地域でも、有力な選択肢となる可能性がある。
ジャガーもまた、次世代のFペイスを含む、将来のモデルにこのテクノロジーを使用する可能性がある。同社のモデルは一般にランドローバーよりもサイズが小さく、オンロード性が高いため、バッテリー電気推進システムに、重点が置かれると考えられている。
JLRの計画は、BMWのそれに似ている。
BMWは、2022年にイヴォークと同等サイズの水素モデル、X5ベースの「iハイドロジェン・ネクスト」の限定生産を予定しており、X6とX7をベースにしたより大型の水素モデルもそれに続く。
英国の内燃エンジン車の販売禁止、および他国での同様の計画のため、JLRは、新しいゼロエミッション戦略に取り組まざるを得なくなっている。
JLRのラインナップのほとんどは、出力が大きく、車重のある高級モデルであり、重量と航続距離の要件を満たすためにEVとして開発し直すのは難しい。
ロジャースは「大型モデルにとって水素はとても理想的です」
「バッテリーEVでは、クルマが大きくなると、より多くのバッテリーパックが必要となります」
「バッテリーパックが増えると、重量が増え、それを支えるためより多くのエネルギーが必要となります」と述べている。