【コロナ禍にもかかわらず】VWグループ、前向きな業績見通しを発表 市場シェア拡大

公開 : 2020.10.05 11:20

フォルクスワーゲン・グループのヘルベルト・ディースCEOは、2020年の前向きな業績見通しを発表。欧州市場は新型コロナウイルスにより深刻な打撃を受けたものの、市場シェアは拡大していると主張しています。

9月販売台数は前年同月比で増加?

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

フォルクスワーゲン・グループは、新型コロナウイルスの影響によって「電気自動車(EV)とデジタルモビリティのリーディング企業」への変革が加速されたと述べている。

このヘルベルト・ディースCEOのコメントは、世界中で販売台数が大幅に落ち込んでいる中で発表された。

ヘルベルト・ディースCEO
ヘルベルト・ディースCEO

2020年は8月末までに560万台が納車されたのに対し、2019年の同時期では710万台だった。 最も打撃を受けた西ヨーロッパは30.9%減少し、最も影響が少ない中国(VWグループ最大の市場)でも11.5%減少している。

こうした販売台数の減少にもかかわらず、グループの世界市場シェアは0.4%増の13%となった。 西ヨーロッパでは0.8%増加して23.7%をマーク。

2020年第2四半期の純流動性は187億ユーロであった。競合他社と比較しても好調な結果である。生産休止による在庫の減少が決定的な要因と言われている。

フォルクスワーゲン、スコダセアトなどの大衆車ブランドが最大の打撃を受け、全体では23%近くの減産となった。プレミアム・ブランド(アウディランボルギーニ)は同16.2%減、ベントレーポルシェブガッティなどの高級スポーツブランドは同5.6%減となった。

グループ全体では、9月の販売台数が前年同月比で増加すると予想しており、特にセアト/クプラとスコダは年末に向けて明るい見通しを示しているという。

クプラを中核ブランドに据える

ディースによると、今年初めに受注を開始したコンパクトEVのID.3が3万台(予約だけではない)を超えており、最近発売されたID.4は2025年までに年間50万台の販売を目標としているという。

ポルシェについては、遅くとも2025年までにラインナップの50%が電動化されるだろうと予測。2020年の営業利益率は10%と健全で、将来的には15%に引き上げることを目標としている。

フォルクスワーゲンID.3
フォルクスワーゲンID.3

アウディは、eトロンを電動SUVの「グローバル・マーケットリーダー」としている。eトロンGTの生産開始は2020年末、Q4 eトロンとQ4 eトロン・スポーツバックは2021年に予定されている。

ディースは、クプラがセアトよりも戦略的に優先される可能性があるという噂には触れず、クプラは台数増加と利益の面でVWグループの中核ブランドの1つとなることを強調した。また、グループが年内にブガッティをリマックに売却するとの報道についても言及を避けた。

新型コロナウイルスについては、67万人いる従業員の感染率は0.11%であり、ドイツ全体の感染率の3分の1だとしている。同社はヴォルフスブルクに独自のテストセンターを持ち、1日に2400件のウイルス検査を行っている。

アウディの次世代EV開発部門のアルテミスは、フォルクスワーゲン・グループの新しいオペレーティング・システム「VW OS」を初めて採用することになる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事