【クルマじゃないと言い切る覚悟】ホンダeをホンダが「つるピカ」「動くスマホ」と表現 背景に割り切り
公開 : 2020.10.01 05:50 更新 : 2020.10.03 01:09
ホンダ初の量産EVホンダeは8月の先行予約開始11日後に初期ロットが完売しました。可愛らしい風貌、横方向に5連装のディスプレイなど、デザインや装備に特長があります。試乗前にホンダ発表資料を読み解きます。
ホンダe、ホンダのまったく新しい発想
やっと、「ホンダe」にじっくり乗る機会がやってきた。
この1年ほどを振り返ってみると、これまで何度もホンダeに触れてきた。
2019年7月に埼玉県和光市のホンダ関連施設内で、実車を見ながら本田技術研究所の執行役員らに「これからホンダがEVを使って目指す方向性」について聞いた。
同年9月には、ドイツ・フランクフルトモーターショーのホンダブースで、ホンダeのワールドプレミアに立ち会い、欧米ジャーナリストたちから印象を聞いた。
続く10月には、東京モーターショーでは日本のホンダユーザーらから、ホンダeの感想を聞いた。
2020年になり、新型コロナウイルス感染拡大の影響が少しだけ収まった8月後半、都内の商業施設「代官山T-SITE」で開催された、ユーザー向け小規模イベント「ホンダeとつながるWeek」にも足を運んだ。
そして迎えた、9月末の報道陣向けの公道試乗会。
開催場所は、横浜の新港ふ頭の旅客ターミナルに隣接する商業施設「横浜ハンマーヘッド」だ。
試乗する前に、改めてホンダeの商品概要と技術説明を、ホンダから事前に案内されたネット上の情報で確認した。
筆者がこれまでホンダeと接してきた際の取材内容と照らし合わせながら、同車の実態に迫ってみたい。
割り切った商品「これは、スマホだ」
「これは、スマホだ」
ホンダeの開発責任者、一瀬智史氏はそう言い切った。
さらには「クルマでも、ヴィークルでもない、シームレス・ライフクリエーターだ」とも言う。
一般的に、シームレスとは、様々な事柄や物事に仕切りや区切りがない自由に動けることを指す。
ホンダがいう、シームレスライフとは、例えば自宅のリビングルームから屋外に出て、仕事をしたり買い物に行ったりという普段の生活での移動が「つながる」ことだ。
なんとも抽象的にわかりにくいが、要するに、ユーザーの気持ちとして、シームレスっぽさを感じるかどうかということだ。
そのためには、デザインもしかり、IT関連技術しかり、関連するサービスモデルしかりで「クルマっぽくない、ライフスタイル」をクリエート(演出)する。
一方で、ホンダの話を聞いていると、やはり「走りへのこだわり」が強い。
走りといっても、狙うのは「小ささを磨いた、街なかベスト」だ。
この「小ささ」の対極にあるのが、ホンダが「長距離・電気自動車」と呼ぶ領域。
ここは、先に発表があったように北米市場ではゼネラルモーターズ(GM)が開発したEVプラットフォーム「アルティウム」との協業という、ホンダとして割り切りがある。