【それでも魅力的】ホンダe試乗 航続距離300km未満、価格451万円~ 走りのEV、その評価は?

公開 : 2020.10.06 11:50  更新 : 2021.12.27 23:56

ホンダの電気自動車、ホンダeに試乗。さまざまな制約はあるものの、「それでも魅力的」とレポートされています。乗り心地、コーナリングを検証しましたが、走りの性能でもっとも印象的なのは加速力だとか。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

走らせて楽しく、さりとて好事家限定でもなく、肩肘張らずにホンダらしい「わくわく」を楽しませてくれるのがホンダe。

車名に「ホンダ」を冠するのも納得できる。

ホンダeアドバンス
ホンダeアドバンス    池之平昌信

とはいえ開発の背景の1つにEUでのCAFE規制という大人の事情があるのは違いなく、その辺りはけっこう理性的だ。

規制値を燃費で示すならガソリン車なら24.4km/L以上、ディーゼル車では27.1km/L以上。あまりに高いハードルである。

ここに二酸化炭素排出量「0」のEV(電気自動車)を投入すれば、計算上はEV1台売れば12km/Lのモデルなら1台、16km/Lなら2台販売してもノーペナルティ。

販売台数を稼げるEVの投入は、自動車メーカーにとっては死活問題。EVとしては手頃な価格で、実用コスパのハンデを背負ってなおかつ魅力的なクルマは必須。ホンダeはその回答でもある。

ホンダeは、ファーストカーとしての汎用性を求めていない。

WLTCモードに於ける航続距離は標準車が283km、上級設定のアドバンスが259km。タウンコミューターという程でなくても短中距離用途向けの航続距離であり、一般的なファーストカー用途には厳しい。

言い方を換えるならばHV(ハイブリッド)も含む内燃機系車種の代替は狙っていない。インフラなどの現状も考慮して、用途を絞って中身を濃くしたのがホンダeなのだ。

どんな感じ?

エヌサンの薫りも漂う2BOXフォルム。FF車のように見えるが駆動方式はモーター位置ではRR。

もっとも駆動に関わる電装系は前後に配置されるので、RRともミドシップとも言い難いのだが、ホンダMM思想を感じさせるレイアウトである。

ホンダeアドバンス
ホンダeアドバンス    池之平昌信

当然、ホンダ車の現行ラインナップに同様のプラットフォームはなく、ホンダeのために起こされたもの。

安上がりにするならe:HEVから内燃機系を取っ払ってしまえばいいのに、とも思うのだが、RRレイアウトによる後輪駆動ユニットは、例えばe:HEVベースのハイブリッドSH-AWDなど電動4WDへの展開もあり、ハードや技術の転用も見据えたものとのこと。

つまりシャシー/駆動系の先行技術開発車でもあるのだ。

フットワークは、RRあるいはミドシップらしい味わい。鼻先軽く回頭し、グッグッとリアに荷重が乗るような挙動が印象的。

だからといって、切れ味鋭く回り込むハンドリングではない。応答遅れ少なく、反応量は過不足なし。早い時期に後輪荷重を立ち上げるので、少ない挙動で綺麗にラインに乗る。

加速しながらコーナーから立ち上がるのがとても心地いい。

こういった特性を幅広い速度域で維持するのも見所。この辺りはS660も思わせ、アジャイルハンドリングアシストの効果も大きいのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事