【喜びを追求したスーパー・シリーズ】マクラーレン765LTへ試乗 765ps 前編
公開 : 2020.10.14 11:20 更新 : 2020.10.14 12:33
首の筋力が試されるほどの旋回速度
一方、サスペンションの設定は、720Sのグリップレベルを煮詰め直すところからスタートしている。新次元のドライバーとの一体感や、限界付近でのハンドリング性能を磨くために。
765LTは、720Sよりフロント側で車高が5mm低く、トレッドは6mm広い。この変更だけで、クルマのロール軸をフロント側に傾けさせ、フロントタイヤのグリップ力を高めることができる。ハンドリングで知覚できるほど。
4本のダンパーの油圧回路を相互接続するプロアクティブ・シャシー・コントロールも、見直された。サーキットでの耐久性を高めるため、スチールが用いられたガス・アキュムレーターも採用した。
コイルスプリングは、720Sより20%レートをアップ。新しい軽量なメインスプリングと、リバウンド用のヘルパースプリングを備え、720Sの設定とは大きく異る。ファイナルギアも専用品で、LTとしては初めてショート化されている。
トレッドが広がったフロント側と、粘りの強いタイヤのおかげで、765LTの旋回速度は非常に高い。ドライバーの首の筋力が試される。
同時に、720S以上にコーナリング時の緊張感は高い。フロントタイヤを目指すラインに乗せていく操作はやや難しくなり、滑らかにステアリングホイールを扱う必要もある。より集中力が求められる。
横方向のグリップも高く、姿勢制御も極めて優れている。コーナーの頂点にタッチできなくなる限界値は、無限に感じられるほど高い。しかも、ブレーキも安定性が高く強力だ。
この続きは後編にて。