【ネックは航続距離200km】マツダMX-30(EV仕様プロトタイプ)に試乗 レンジエクステンダー版も計画か

公開 : 2020.10.13 10:20  更新 : 2021.03.07 00:16

機敏な動的性能のクロスオーバー

エアコン用モニターの周囲には、スイッチ類が残され、インフォテインメント・システム用には、ロータリーコントローラーが用意されている。実用性を犠牲にしたモニター化ではない点が、評価できる。

インテリアには、触感のいい素材を多用。一部にはコルクや環境に優しい素材も採用し、上質で快適なインテリアを構成する。センターコンソールも個性的。

マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)
マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)

今回試乗したのは、量産直前のプロトタイプ。英国では上級グレードとなるGTスポーツ・テックだった。エントリーグレードでも、ヘッドアップ・ディスプレイや8スピーカーのオーディオ、18インチ・アルミホイールやバックカメラなどが標準装備になるという。

MX-30のデザインで注目なのが、リアヒンジのリアドア。RX-8を彷彿とさせ、後部座席へのアクセスもしやすい。フロントドアを開かないと、リアドアは開かないけれど。

後部座席は、余裕があるとはいいにくい。身長の高い大人は、特に足元周りで狭く感るだろう。荷室空間は366Lあり、リアシートを折り畳めば1171Lにまで広がる。

電気モーターはフロントに搭載され、145psと27.4kg-mを発揮する。多くの純EVと同様、最大トルクは発進と同時に生み出される。爽快に活発な加速を引き出せる。

35.5kWhと小さなバッテリーのおかげで、車重は1645kgと、このサイズの純EVにしては軽い方。ダイナミックに走る。純EVとして、機敏な動的性能を得たクロスオーバーだ。

ステアリング裏のパドルを弾けば、回生ブレーキの強さを調整できる。5段階から選べ、最も効きを強くすれば、ほぼワンペダルでの運転も可能だ。

ロータリーによるレンジエクステンダー版?

今回の試乗では、様々な条件で約65kmを走行した。その結果、残りの航続距離は91km短くなっていた。

さほど丁寧に運転したわけではなかったから、余計に短くなったのだろう。しかし、200kmより短い距離で充電が必要になることを示唆している。充電器は、最大で6.6kWのACか50kWのDCに対応する。

マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)
マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)

MX-30は、多くの点で評価できる。スタイリッシュだし、装備も充実している。洗練され上品で、価格だけ見れば競争力も高い。コンパクト・クロスオーバーの純EVとして、オススメできる要素は多い。

航続距離が、最後のひと押しをためらわせる。マツダが設定するターゲット層には、丁度いい距離かもしれない。しかし、より長い航続距離が与えられれば、そちらに流れる可能性は高い。200kmで充分なら、MX-30は良い選択肢になるだろう。

現時点で、より大きなバッテリーを搭載する予定はない。そのかわり、レンジエクステンダー版が出ることも考えられる(ほら、フロントに発電用ロータリーエンジンを搭載できるスペースが!)。マツダの主張では、大容量バッテリーより長い航続距離が得られ、環境負荷は抑えられるという。

航続距離に納得できれば、増加する純EVの中で、マツダMX-30は歓迎できるモデルに位置づけられる。ほかのブランドとは少し違うというマツダのスタイルは、純EVでも変わらない。

マツダMX-30 eスカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州EV仕様)のスペック

価格:2万9845ポンド(399万円:英国政府の補助金適用)
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1570mm
最高速度:140km/h
0-100km/h加速:9.7秒
航続距離:199km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1645kg
パワートレイン:同期電気モーター
バッテリー:35.5kWh
最高出力:145ps
最大トルク:27.4kg-m
ギアボックス:−

マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)
マツダMX-30 e-スカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州仕様)

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