【ソフトトップでも329km/h】ポルシェ911ターボS カブリオレへ試乗 アウトバーンを走りたい
公開 : 2020.10.11 10:20
超高速域でも快適さを保つソフトトップ
ソフトトップを閉じていれば、ターボSカブリオレの最高速度はクーペと変わらない。ポルシェの技術者は、そんな制限は必要ないと笑うだろう。
しかも、ソフトトップは高速でも静か。クーペとどの程度の差があるのか、乗り比べてみるとわかる。車内ノイズで、明確と呼べるほどの違いはない。
公道から離れた場所で、200km/h程度での巡航走行を試してみた。その速度で長時間の運転をためらわせないほどに、車内は充分静かだった。仮に225km/hまでスピードを上げても、同じくらい快適だろう。
カブリオレでもポルシェ911ターボSの場合なら、週末に目指すのはフランスの南海岸ではない。アウトバーンを走った方が、楽しめそうだ。
クルージング時の性格は、クーペのターボSとは異なる。カブリオレを選んだのなら、フレッシュな空気を楽しみながら、オープンで爽快に流したい。
風の巻き込みやバッファー音の発生は、ベストといえる水準には及ばない。でも、かなり抑えられている。
コックピット・プロテクターと呼ばれるディフレクターで、車内環境は改善できる。だが見た目が良くない。マッドフラップのように、デザインを台無しにしてしまうと思う。
高速道路を走るなら、ソフトトップは閉じた方が快適。周囲の車両が放つ音や気流が、車内を通っていくから。48km/hの速度までなら、走行中でもソフトトップを開閉できる。とても高速に動作し、便利だ。
低い回転域でも速度域でも扱いやすい
ボディ幅が広く、狭い道では扱いにくくなる場面もあるが、ポルシェ911ターボS カブリオレは申し分ない。低回転域でも低い速度でも、とても扱いやすく、マナーも良い。
ただし市街地では、極めて高性能なクルマなのに、正しく乗れていないという不満を感じるかもしれない。特に高価なスポーツ・エグゾーストの不機嫌そうなガナリ声が、そう思わせてくる。
控えめなパワーとボディの、911カレラ・カブリオレでも、ほとんどの場面でターボS カブリオレと同等の充足感は得られると思う。英国での価格は、5万ポンド(670万円)以上安い。日本ではそれ以上だ。
硬めの乗り心地や、大きなロードノイズと付き合う必要もない。ターボSの場合、筆者にとっては、英国の道路環境では我慢できるギリギリの線。
もちろん信頼性や品質、動的性能に疑問はいらない。路上を走るどんなクルマより、真面目に作られている。
ポルシェ911が大好きで資金に余裕があり、それを誇示したいのなら、ターボS カブリオレは良い選択だと思う。個人的には、ターボのクーペの方が、実用的だとは思うけれど。
カブリオレを選ぶなら、カレラかカレラSの方が、ベターな選択肢にはなり得る。それでも、ターボSのカブリオレを選んでも、間違いだと感じることはないはず。
ポルシェ911ターボS カブリオレ(英国仕様)のスペック
価格:17万8414ポンド(2390万円)
全長:4535mm(クーペ)
全幅:1900mm(クーペ)
全高:1303mm(クーペ)
最高速度:329km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃費:8.0-8.2km/L
CO2排出量:275-284g/km
乾燥重量:1710kg
パワートレイン:水平対向6気筒3745ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:650ps/6750rpm
最大トルク:81.4kg-m/2500-4000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック