【選択肢上位の実力】シトロエンC5 エアクロス・ハイブリッドへ試乗 PHEV版登場
公開 : 2020.10.19 10:20 更新 : 2022.02.24 19:44
SUVボディには意外なほどの瞬発力
試乗では、様々な条件で約770kmを走行したが、38.2km/Lという平均燃費が出ていた。こまめに充電しながらだが、充分に評価できる数字だ。そのうち44%は、電気モーターだけで走れている。
走りは爽快。C5 エアクロス・ハイブリッドは、デフォルトでEVモードでスタートする。加速感は予想しやすく自然。力強く、多くのガソリンモデルを置き去りにできる。
ボディスタイルとしては、意外なほどの瞬発力。0-100km/h加速は8.7秒で、60km/hくらいまでが特に鋭い。前輪駆動だから、滑りやすい路面状態ではトラクション・コントロールが必要になるほど。
100km/hに迫っても加速は衰えず、そのまま電気モーターだけで巡航走行に入れる。そのかわり高速道路では、バッテリーの消費も早い。25kmも走れれば良い方だろう。
ドライブ・モードは3種類。街なかで最適なエレクトリック、エンジンと電気モーターを自動的に切り替えてくれるハイブリッド、そして最大のパフォーマンスを引き出せるスポーツだ。
PHEVシステムはとても良くできている。エンジンとモーター、トランスミッションがスムーズに連携し、ドライブ・モードに関係なく静か。
市街地を抜ける頃には、ハイブリッド・モードでもバッテリーを使い果たすこともあるはず。バイパスなど流れの速い道では、エンジンがサウンドを聞かせながらクルマを引っ張ってくれる。
ステアリングの操舵感や、全体の操縦性も安楽で正確。車線維持支援システムをオフにした方が、筆者は運転しやすかった。
シトロエンらしく乗り心地も好印象
乗り心地も素晴らしい。プログレッシブ・コンフォート・クッションと呼ばれる、油圧バンプラバーを備える。シトロエンらしいこだわりだ。
柔軟な心地よさと、適度な姿勢制御を両立させている。隆起部分を超えても、落ち着きを崩さない。内装がカタカタと音を立てることもなかった。
ただし、英国ならではの深いワダチは苦手な様子。低速域での凹凸の処理は今ひとつで、時々だらしない振動を生んでいた。19インチのホイールが、大き過ぎるのかもしれない。とはいえ、それ以外の振る舞いはとても好印象だ。
シトロエンC5 エアクロス・ハイブリッドは、間違いなく訴求力のある選択肢だといえる。価格は適正だし、装備も充実し、見た目も走りも良い。しかし、ライバルも少なくない。
グループPSAの一員として、DSやプジョー、オペルなどのブランドからも、兄弟モデルがリリースされている。さらに、少々古株だが三菱アウトランダーPHEVや、キアeニロなども揃っている。
選ばれるのは簡単ではないかもしれない。しかし、シトロエンC5 エアクロス・ハイブリッドは、選択肢の上位にランクインできる実力を備えている。
シトロエンC5 エアクロス・ハイブリッド(英国仕様)のスペック
価格:3万6845ポンド(493万円)
全長:4500mm
全幅:1840mm
全高:1689mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:8.7秒
燃費:55.6-78.6km/L
CO2排出量:32g/km
乾燥重量:−
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:13.2kWh
最高出力:225ps(システム総合)
最大トルク:50.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック