【大幅減! 事故率0.06%】スバル・アイサイトの実績 ぶつからないクルマ、本当に実現可能なのか?
公開 : 2020.10.15 05:50 更新 : 2020.10.16 19:24
アイサイト、新車アセスメントにも影響
アイサイト効果は他の日系メーカーに強い影響を及ぼした。
実際、各ブランドの販売現場からは「ウチもアイサイトのような装備が必要だ」という声が強まったと聞いている。
また、技術関連のカンファレンスなどで日系メーカーの高度運転支援システム(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム:ADAS(略称エーダス)の歴史が紹介されると、「本格導入のきっかけを作ったのはアイサイト」という表現が使われることが多い。
一方、海外では、イスラエルのベンチャー企業モービルアイが2000年代に単眼カメラによる画像認識技術の開発に成功し、GMやボルボなどが先行してADAS機能として装着を進めた。
ドイツでは、ダイムラー/BMW/VWに強い影響を及ぼす、ボッシュとコンチネンタルがADAS開発を加速させた。
そうした中で、メーカーとユーザーに対して第三者機関が安全技術評価を公表する、新車アセスメントプログラム(NCAP)で、事故後の衝突安全に加え、事故前の予防安全での試験が導入された。
アセスメントは、CO2規制やEV販売台数規制などの国や地域の行政機関が設定する規制ではないが、自動車メーカー各社はアセスメントの新規試験項目への対応が必須となっている。
では、実際に事故が発生した場合、自動車メーカーはどのような対応をしているのか?
独自の事故調査を行う欧州メーカー
今回のスバルが公表した、「アイサイト搭載車の事故件数調査結果」は、公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを基にしている。
先日、新型「レヴォーグ」プロトタイプの報道陣向け試乗会で、新型アイサイト開発チーム関係者らに「アイサイト搭載車での実際の事故の検証はおこなっているのか?」と聞いたところ「基本的にはおこなわない」との回答だった。
これは、他の日系自動車メーカーでも同様で、日本ではメーカーが事故車を検証することは極めて稀だ。
一方で、海外では交通事故の現場に出向いて調査する体制を敷くメーカーがある。
詳細を公表していないメーカーもいるが、そのなかでメルセデス・ベンツは、1969年から「メルセデス・ベンツ・アクシデント・リサーチ」という専門部署がある。
本社研究開発拠点がある独シンデルフィンゲンの半径約200kmでメルセデス・ベンツとスマートが起因する重大な交通事故が発生した場合、現場に急行して調査をしてきた。
メルセデス・ベンツによると、そうした調査が衝突安全技術、予防安全技術、またインテリアデザインでの基礎資料となっているという。
今後は、車載カメラ映像や車載器データなど、通信によるコネクティビティを使った事故検証が日本国内も含めて進むのではないだろうか。