【毎日乗れる4シーターGT】 フェラーリ456GT/456M GT 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2020.10.31 16:50  更新 : 2020.12.08 08:40

V型12気筒にFRレイアウト、4シーターという実用性も備えたグランドツアラー、フェラーリ456。比較的信頼性も高く、価格も跳ね馬の中では手頃といえます。毎日乗れるフェラーリの注意点を、英国編集部が解説します。

フェラーリ456GTの中古車 購入時の注意点

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フェラーリ456GTの車重は軽量とは呼べないが、ハンドリングは機敏で、まとまりがいい。走行中に聞こえる異音は、状態が良ければない。レザーシートの上で擦れる洋服の音くらいだろう。

何よりも定期的なメンテナンスが不可欠。タイミングベルトはエンジンを降ろさずに交換できる。中にはオーナー自らで済ませる人もいる。

フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)
フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)

5万km毎に行いたいバルブの点検でも、調整が必要になるケースは珍しい。インテークマニホールドのガスケット、エンジンマウント、ウオーターホースなどは比較的弱い。

6速MTは丈夫で、古いフェラーリのように冷間時に変速が難しくなることはない。サークリップの不具合で、リバースからシフトが抜けることがある。交換するにはMTを降ろすしかない。4速ATも同様に堅牢。

部品によっては、フェラーリの純正品を選ぶ必要もないだろう。一部の部品はほかのモデルと共有しており、手頃な価格で入手できる。

リアのセルフ・レベリングシステムは弱点の1つ。オイル漏れがしやすく、リザーバータンクはパワーステアリングと共有する。リアダンパーはリビルトが可能。

ブレーキはよく効き、安心感がある。車重があるため、減りは早め。定期的な交換は不可欠だ。リア周りの点検時には、トランスミッション・オイルクーラーの状態も一緒に見ておきたい。

不具合を起こしやすいポイント

ボディ

アルミニウム製のボディは、スペースフレームのシャシーに特別な方法で溶接されている。ダメージを受けた場所から、腐食が進む。特にサイドシルとフロアは、スチール製で傷みやすい。サイドシルはボルトで止まっていて、取り外せる。

フロントとリアのガラスは、端の部分が白く曇る場合がある。456Mのカーボンファイバー製ボンネットは、買うと8000ポンド(107万円)もするが、修理は可能。

エンジン

フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)
フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)

フェラーリ製ユニットの中でも多くのモデルに搭載された5.5LのV型12気筒エンジンは、基本的に堅牢で信頼性も高い。リビルドせずに16万kmを走ることも可能。

購入する場合、定期的なメンテナンスが施されていることを忘れずに確かめたい。オイルやクーラントの漏れも調べる。タイミングベルトは5年毎の交換が推奨。

サスペンションとホイール

リアダンパーとセルフ・レベリングシステムは、弱点といえる。ホイールの腐食やタイヤの製造年も確認する。

電気系統

パワーウインドウのレギュレーターは、故障しがち。パワーシートやリトラクタブル・ヘッドライトの動作なども確認ポイント。リトラクタブル機構は、スチール製部品の腐食で起きることがある。ステンレス製の部品に交換も可能。ダイオードが原因のことも。

インテリアとソフトトップ

シートハンドルや内装パネル、スイッチなどのプラスティック製部品は、特に初期のクルマでネバネバと表面が溶けたようになりやすい。柔らかいレザーは、摩耗や日焼けで傷みやすい。

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