【グランドツアラーとしての高い資質】トヨタGRスープラ(2)長期テスト

公開 : 2020.10.24 11:50  更新 : 2021.07.12 18:56

長い開発期間を経て登場したトヨタ・スープラ。充分な荷室と不足ないパワーを備えていますが、今後に続く相応しい性格付けは与えられているのでしょうか。スポーツカーとしての本性を、長期テストで確認していきます。

積算2037km 意外なほど柔らかい乗り心地

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トヨタGRスープラに乗って、1か月ほどが経つ。ロングノーズのシルエットを持つスープラだが、徹底したスポーツカーというより、グランドツアラー寄りの性格にあることが見えてきた。

かなりアグレッシブなボディデザインにも関わらず、乗り心地は驚くほど柔らかい。日常的に乗るクルマとしては、うれしい喜びに思える。

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)

積算3669km アウトバーンをスープラで走る

スープラで長距離ドライブできる日を待っていた。そして先月、初めての機会がやってきた。

AUTOCARの英国編集部へ、BMWから連絡があった。新しい128tiプロトタイプへの試乗の打診。断るはずがない。

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)

BMWのR&D本部は、ドイツ・ニュルブルクにある。フランクフルトまで飛行機で向かい、バスで移動するか、自ら直列6気筒ターボを回して向かうか、移動方法が選べる。

新型コロナウイルスの影響で、国を超えた移動には制限がある。ドイツへの往来は、英国政府の制限から外れていた。もちろん、制限されればクルマでの移動自体できなくなる。

心配したものの、無事にスープラでドイツへ向かえた。走行距離は、一気に1600kmほど増えた。その多くは、アウトバーンで刻んだもの。257km/hのスピードリミッターに当たっても、まだスープラには余裕があるようだった。

GRスープラは、長距離を驚くほど高速に走れる。絶対的なスピードという意味ではなく、スープラの場合、高速時のマナーがとても優れているのだ。

ロングなギア比に太い低速トルク

絞られたフロントノーズと有機的なカーブを描くボディは空力的にも良いようで、風切り音は小さい。サスペンションのラバーブッシュは優しく、ミシュラン・パイロット・スーパースポーツというタイヤも当たりがマイルド。

8速まで切られたギア比も、比較的ロング。レブリミットまで回せば、理論的に空気抵抗などがなければ426km/hまで出る計算。130km/hでのクルージングは、2000rpmを少し超える程度。

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)

それでいて、優れたパフォーマンスがすぐそばにある。BMW製の直列6気筒ターボは、50.7kg-mという太いトルクを、わずか1600rpmから生み出す。

加えてスープラは、重いわけではない。先日計測する機会があったのだが、燃料タンクに25%ほどガソリンが入った状態で、1497kgしかなかった。

小さなクーペボディとしては、軽い方ではないだろう。しかし、これだけ太いトルクがあれば、問題になる重さではない。高速クルージングは、とても容易い。

動的性能に合わせるように、シートの彫りは深く、ステアリングホイールの肉付きは良い。少し操舵感は人工的だけれど。

2シーターの車内は、比較的タイト。フロントウインドウは横長に切り取られたようだが、視界は良い。サイドウインドウはスリムで、安心感がある。一部のドライバーは、長距離ドライブの相棒として気にいる雰囲気だと思う。

BMW M440iのような、開放的なコクピットを好むドライバーもいるだろう。グリルのデザインは別として。

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