【2つの大ニュース】三菱エクリプス・クロス2020年型、見た目が大変化 PHEV追加 アウトランダーとの違いは
公開 : 2020.10.17 05:50 更新 : 2021.10.13 15:58
ツインモーター4WD 採用の利点
ツインモーター4WDを採用する利点の1つが前後の駆動トルク配分の自由度の高さにある。
前後が独立した駆動系であれば0:100も100:0も簡単。しかも、瞬速の応答性である。
三菱の4WD制御技術の1つに各輪へのトルク分配を積極的に制御し、背反要件の運動性と安定性の高水準で両立できるS-AWCがある。
もちろん、トルク分配の制御が精密なほど理想の走りが実現できる。トルクの精密制御で電動モーターに勝る動力源は他にない。つまり、S-AWCの効果はPHEVで最大限に発揮される。
当然、アウトランダーPHEVにも採用されているが、エクリプス・クロスPHEVとは設定モードが異なる。
アウトランダーはノーマル/ロック(Lock)/スノー/スポーツの4モード。悪路対応を主にした設定だ。
一方、エクリプス・クロスはノーマル(エコ)/スノー/グラベル(ダート)/ターマック(舗装)の4モード。路面環境に応じてトラクションと旋回性のバランスが異なっている。
走り、アウトランダーとの最大の違い
アウトランダーと乗り比べる。応答性がいい。体感では舵を入れてからの回頭し終わるまでの時間が半分くらい短縮された感じだ。
挙動の収束も同様であり、サイズや重量がひと回り以上コンパクトになった切れである。
ただし、挙動や回頭の変化量はそれほど違わない。これが一番感心させられた点なのだが、強引に過速度による4輪ドリフトも試してみたが、回頭速度や収束性は安定している。
速度超過分だけラインが孕むが、ほぼ狙った通りに収まる。どの走行モードを選択しても限界前後の領域では同じようなコントロール性が確保される。
試しにASC(横滑り防止装置)を切って試してみたが、修正操作で操舵も加減速も大忙し。安全とファントゥドライブの両面でS-AWCに多謝!なのだ。
三菱の技術と走りの哲学を理解できる
従来車やアウトランダーを基に新型エクリプス・クロスのPHEVの価格を予想すると主要グレードは400万円以上。装備充実仕様なら450万円を超えてくるだろう。
上位パワートレインのコンパクトSUVの主価格帯と比較しても100万円以上高い見当である。
もっとも、RAV4のPHVはハイブリッド車との差額は60万円強だが、ガソリン車に対しては130万円近く高価。ハードウェアからしても400万円以上となって当然である。
プラグイン・ハイブリッド車としては妥当な価格設定でも、相応の価値を見出せるかはユーザー側の問題である。
タウンユース中心ならEVとして使える等の経済面の利点があっても燃料代差額で価格差を埋めることは不可能であり、実用面のコスパを求めるユーザーには勧め難い。
今回はPHEVのみの試乗だったが、あくまでもビッグマイナーであり、新型には内燃機車もラインナップ。実用性で費用対効果を求める本命は別にある。
PHEVはEVの走りと先進感が最大のセールスポイント。これはアウトランダーと同じである。
エクリプス・クロスの場合はそこに電動により進化したS-AWCとファントゥドライブが付加価値として上乗せされる。
嗜好と志向の相性が大きいが、ランエボなき今の三菱の技術と走りの哲学を最も理解できるモデルなのは間違いない。