【新エンジンの洗練度は過去最高】ランドローバー・レンジローバー D350 MHEVへ試乗 直6ディーゼル+ISG

公開 : 2020.10.30 10:20  更新 : 2021.05.27 20:07

長距離でも一切の苦労知らずという特長

トランスミッションをスポーティなモードに変え、アクセルペダルを深く踏み込み、キックダウンさせて全力加速を試みる。そうしてやっと、ガラガラしないエンジンサウンドが、遠くから聞こえてくる。アクセルペダルの操作に対する振動も、ゼロといっていい。

パワートレインからのノイズはほぼなく、独立懸架式のサスペンションはとてもしなやか。長距離でも一切の苦労知らずといえるレンジローバーの長所を、さらに高めている。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)

エンジンが静かだとしても、風切り音やロードノイズ、トランスミッション・ノイズなど、余計な音が引き立つこともない。ランドローバー本社からロンドン郊外に向けて、積極的に運転してみたが、筆者が経験した中で最も静かで落ち着いた走りの1つだった。

新しいパワートレインは、次期レンジローバーに搭載されてもおかしくない仕事をしている。イチオシのユニットといえそうだ。

試乗では、レンジローバーのコーナリング能力を見極められるだけのペースでは走れなかった。だが、電動のパワーステアリングは、改善の余地があるだろう。適度に反応は良いものの、軽すぎる。

ブレーキは素晴らしい。強力で制動力の調整もしやすい。大きなペダルの踏みごたえも、しっかりしている。以前のレンジローバーは、強いブレーキングで自重にうろたえることがあった。しかし、そんな悪癖も昔の話だ。

動的性能と経済性の両面で魅力を増した

今回の試乗では200kmほどの距離を、交通の許す範囲でハイペースに走行したが、得られた燃費は11.7km/L。少し甘めに出る傾向があるから、実際は11.0km/Lくらいかもしれない。それでも、悪くない数字だといえる。

正面面積が大きい大型SUVだから、高速なほど燃費も悪くなるが、パフォーマンスを考えれば評価できる。日常的な運転環境なら、カタログ値の10.9km/Lの燃費を出すことも、英国なら難しくないだろう。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)

新しいパワートレインを搭載したレンジローバー D350は、動的性能と経済性の両面で、大きく魅力を増したといえる。最高出力300ps、最大トルク66.2kg-mに8速ATが組み合わされた、より安価なD300も、訴求力は高いはず。

両者の違いの差を感じるには、直接乗り比べて確かめるしかない。D300も、基本的にはD350並みに優秀なのだろう。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)のスペック

価格:8万5995ポンド(1160万円)
全長:5000mm
全幅:1990mm
全高:1836mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:10.9km/L
CO2排出量:241g/km
乾燥重量:2275kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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