【アメリカで高額落札】日本の軽トラック・軽自動車 6台がオークションに スバル360のポリスカー(?)が400万円超え

公開 : 2020.10.28 17:20  更新 : 2021.10.11 09:37

輸出用ホンダN600、Z600 マツダK360は日本仕様

ホンダN600、Z600についても見ていこう。

こちらは、当時アメリカに輸出された左ハンドルのアメリカ仕様。日本国内向けは360ccだったが、輸出用は600ccにスケールアップされ、前後ろのサイドマーカーランプはアメリカの規定に合致した大型のものが付くのがポイント。

1970年ホンダN600
1970年ホンダN600    RM Sotheby’s

両者ともレストア済で良好なコンディを保っている。

一方のマツダK360は、近年海を渡ったクルマ。日本の車検ステッカーが、ウインドウにそのまま残されていることからも分かる。

後期型のサイド・ウインドウが昇降するタイプで、オリジナルを良く保ちコンディションは極めて良い。

車検ステッカーの期限は2018年1月とある。

軽トラ「キャリイ」 作業用の車両か

スズキ・キャリイ・トラックだけはぐっと新しくなり、1993年のモデルだ。こちらも日本の車検ステッカーが残っている。

アメリカで軽トラックはコンパクトで小回りが利き、大きな荷物が積めることから人気が高く、「エルクハート・コレクション」でも作業車として使われていたと思われる。

1993年スズキ・キャリイ・トラック
1993年スズキ・キャリイ・トラック    RM Sotheby’s

このキャリイをチェックしてゆくと4WD版のトラックで、車検ステッカーは2019年6月になっているので、その前後に海を渡ったと思われる。

リアのライセンスプレート・ベースを仔細に見ると、汚れの中から「飛騨40」と読み取れた。

荷台のあおり扉に貼られたディーラーのステッカーは各務原市にあるショップのもので、岐阜県からインディアナ州に嫁いだことになる。

驚きの落札額は?

オークションを終えてみれば、6台中5台が予想落札額を越える人気ぶりだった。

最高落札額を記録したのは最も注目を集めていた1970年スパル360ポリスカーで、最終的に驚きといえる4万4800ドル(約471万円)で終えた。

1970年スバル360ポリスカーの内装
1970年スバル360ポリスカーの内装    RM Sotheby’s

ここにレストア済でコンディションの良い1970年ホンダN600と、恐らくアメリカにはこの1台だけと思われる1960年マツダK360が共に3万4720ドル(約365万円)で続いた。

ノーマルの1969年スバル360も人気を集め3万240ドル(約318万円)、1972年ホンダZ600もレストア済だったのだがN600の人気に一歩及ばず2万5760ドル(約271万円)に留まった。

唯一のネオクラシック・モデルとなる1993年スズキ・キャリイ・トラックも意外な額で落札された。4WDであることに加え、アメリカでの軽トラ・ブームを背景に7840ドル(約83万円)まで値を上げた。

日本なら同じ仕様が15~20万円で買えるだけに、いかに人気が沸騰しているかを物語る落札額といえる。

日本の軽自動車はアメリカでは考えられない超コンパクトで個性的なスタイリングを備え、ちゃんと走ることからコレクターズ・アイテムとして認められている。

そしてビッグネームのホンダ、マツダ、スバルが、その昔に送り出したマイクロカーという希少性もある。こうしたバックグラウンドがあるからこそ、軽自動車が高額で落札されるのである。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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