【ファッショナブル・チョイス】シトロエンC3 1.2 ピュアテック110へ試乗 小変更 後編
公開 : 2020.11.06 10:20 更新 : 2022.02.24 19:22
シトロエンのコンパクト・ハッチバック、C3がフェイスリフト。ボディ側面のエアバンプは残され、個性的なデザインに磨きがかけられました。一方、サスペンションの設定が気になると、英国編集部は評価します。
もくじ
ー少々力不足ながら軽快に引っ張る1.2L
ー柔らかいサスが生む大きなボディロール
ーほかとは少し違うクルマを選びたい人へ
ーシトロエンC3 1.2 ピュアテック110 フレアプラス(英国仕様)のスペック
少々力不足ながら軽快に引っ張る1.2L
マイナーチェンジで、リフレッシュしたシトロエンC3。ドライビング体験は、モダンな見た目ほど洗練されているわけではない。
試乗車のC3が搭載するエンジンは、選択肢の中では一番強力な、109psと20.8kg-mを発生する3気筒ガソリンターボ。ピュアテック110と呼ばれる。
スタートダッシュは力強く感じられるし、吹け上がりも軽快。しかし、上り坂や追い越し時の加速では、少し力不足な様子。それでも、トランスミッションは6速MTが載っていたから、6速ATよりはキビキビと扱うことはできた。
変速時の感触は少しあいまいで、クイックな変速をしようとすると、不満が残ることも。シフトノブはキューブ状で掴みにくく感じた。6速MT自体はとても滑らかで、都市部でのスムーズな走りの印象を高めてくれているだけに、少々残念。
1.2Lエンジンは、C3を110km/hまで活発に引っ張り、そのまま静かなクルージングへ持ち込んでくれる。存在感は控え目で、知的にアクセルペダルを操れば、16.0km/L前後の燃費を得ることも難しくない。
ハッチバックのC3で気になるのが、乗り心地。歴史的に、シトロエンの強みの1つだったはず。路面の起伏や乱れをアイロンがけしたかのように平滑に均す、穏やかな乗り心地を期待する人は多いと思う。
柔らかいサスが生む大きなボディロール
プログレッシブ・ハイドローリック・クッションと呼ばれる油圧サスペンションが、シトロエンC5や新しいC4には採用されている。BXやDSの祖先からの流れを受け継いだ、よく考えられたシステムだ。
しかし、コンパクト・ハッチバックのC3には、複雑なシャシー技術が与えられていない。それでいて、魔法のじゅうたんのような乗り心地を与えようとした意図は感じられる。それが原因なのだろう。
乗り心地は良いのだが、アスファルトの隆起部分を超えると、歓迎されない上下動が出てしまう。サスペンションの減衰力が、足りていないと感じさせるような動きだ。
さらに、ある程度のスピードでコーナーへ侵入すると、ボディは大きく外側へ傾く。ライバルモデルでは見られないほどに、ボディロールが大きい。
このサスペンションに、予想以上にクイックに反応するステアリング・ラックが組み合わされている。結果的に、ターンインのレスポンスは、本来以上に優れているように感じられるから不思議。
想定したラインから外れることなく、積極的にコーナーを曲がっていく。しかしボディの緩い動きが、もう一度試そうという気をなくさせる。現代版シトロエン2CVではないはずだから、もう少し巧妙な姿勢制御を得ていてもいい。
高速域では、風切り音とロードノイズが車内に届く。それでも、素晴らしく快適なシートに高音質なサウンドシステム、広々としたグラスエリアが、居心地の良い空間を生んでくれる。評価の高い、より大型のシトロエンに通じる特長だといえる。