【ガソリン車廃止】なぜ中国も2035年? 世界的な電動化、日本にどう影響 ハイブリット大国の悩み
公開 : 2020.10.29 11:20
カーボンニュートラルという高い目標
日本の場合、「20〇〇年までにガソリン車禁止」という表現は使っていない。
その代わりに最近よく耳にするのが「カーボンニュートラル」だ。
カーボンニュートラルとは、社会全体におけるCO2排出量の実質ゼロだ。
菅義偉総理が2020年10月26日の臨時国会の所信表明で「2050年までに社会全体でカーボンニュートラル」と宣言した。
その3週間ほど前、10月2日のホンダ「F1参戦終了」会見では、参戦終了の理由として「2050年にカーボンニュートラルの実現」を掲げた。
いま思えば、ホンダが日本政府の動きをしっかり先読みしていたことがわかる。
また、F1参戦終了の会見で、ホンダの八郷隆弘社長は「2030年に四輪販売の3分の2を電効化する」と表現した。
この「3分の2」とは当然、世界市場全体を指しており、日本市場での電動化の割合目標については公表していない。
一方、経済産業省が自動車メーカー各社らと共同で作成し2018年に公表した、2030年目標がある。それによると、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車クリーンディーゼル車などの次世代車が50-70%で、残りの30-50%が従来車(ガソリン車・ディーゼル車)としている。
これを見る限り、アメリカや中国と比べると日本は明らかに電動化の速度が遅く感じる。
日本でEVシフトは起こるのか?
では、菅政権がいう2050年カーボンニュートラルによって、日本でもEVシフトを軸足とした電動化が一気に進むことになるのだろうか?
筆者の見立てとしては、かなり難しいと思う。
理由は、日本では米中で起こっているような、EVシフトの要因が少ないからだ。
これまで日本では、EV普及のハードルとして、
1 電池価格の高さによる車両価格の高い
2 ハイブリッド車等に比べて航続距離が少ない
3 充電インフラが少ない
という3点が挙げられてきた。
このうち、1と2については、米中では「プレミアムEV」という分野が確立され始めていて、電池容量が大きくて航続距離が長く、価格も高いEVの需要が生まれている。
この分野で日本メーカーは出遅れている。
3についても、2010年代に補助事業等で全国各地の充電設備は増えたが、このところ設備更新がスムーズにおこなわれないケースも出てきた。
充電器の設置については、改めて日本全体で取り組むべき時期だと思う。
こうした日本におけるEV市場の現状を改めて考えてみると……。
結局、日本は世界に先んじてハイブリッド大国となったことが起因し、このところ米中や欧州で活発になっているEVシフトとは別の電動化の道を進むように思える。