【カーシェア投資】有志による投資車両の確認はじまる エンジン掛かる? 投資者は今、どうすべきなのか
公開 : 2020.10.30 05:50 更新 : 2022.03.25 18:51
カーシェア投資にかかわる一連の問題の続報です。有志によって、投資車両の確認が始まりました。また契約台数は649台で、うち90台が未納ということもわかりました。投資者がどうすべきかをお伝えします。
カーシェア投資詐欺とは何なのか?
AUTOCAR JAPANが10月10日に法人メディアとして初めて記事を公開した「S社絡みの詐欺的カーシェア投資案件」について、初めて読む方に概要をお伝えしておきたい
筆者は10名以上の方から契約書などの画像を送っていただいているが、それぞれに内容が微妙に異なる部分もある。
簡単にまとめると以下。
・BMWやメルセデス・ベンツ、アウディ、アルファード、レクサスなどの中古高級車(300-800万円前後)をローン会社や銀行でローンを組んで購入契約をおこなう。
・月々のローン代金、自動車保険料、自動車税などは毎月S社から入金されて、その7〜10日後に投資者の口座から引き落とされる。
・投資者の金銭的負担はゼロ。広告宣伝活動の1つとして2018年~19年頃まではクルマと一緒に写真を撮ってS社のサイトに掲載されている。全員ではなく、OKが出た人のみ。中には顔出しで写真におさまっている人もいた。
そして受け取れる報酬は以下の3つ。これらも契約時期などによって内容が異なる場合がある。
・契約後に車両価格の1割(30~80万円)
・ローン代金や保険料とともに、毎月1万円
・2年または7年で完済した際には100万円
S社は個人間カーシェアで共同使用をおこなう車両として一般の利用者に1日6000円~1万円前後で貸し出す。
中には月額8~20万円以上で契約をしていた車両も100台以上あったという。
投資者が受け取れる報酬の合計は7年間で200万円以上。クルマの知識も必要がなく、ローン審査を通すことができれば、誰でも投資者になれる。
契約台数は649台 うち90台が未納
事情に詳しい関係者の話によると、S社で契約されていたクルマの台数は約650台。うち90台が「未納車」だった。
未納車とは「納車されていないクルマ」のこと。納車待ちのクルマではなく、そもそも存在しないクルマだ。
存在しない商品に対してローンを組んで金融機関から融資を受けることを「空(から)ローン」と言う。
空ローンはクルマや住宅など高額な商品を対象におこなわれることがあり、自営業者などが運転資金など資金繰りに困ったときなど、お金を調達する手段である。もちろん違法だ。
2年前に2台のクルマを契約したHさんは、1台はまともなクルマ(レクサスLS)だったが、もう1台のメルセデス・ベンツは存在しないクルマだった。
S社が事業停止を発表した以降にわかったことだ。
「レクサスはローンの手続きが完了したという知らせが来たのですが、メルセデス・ベンツは銀行でのローン契約手続きに時間が掛かっているということで、そのままになっていました」
「契約書は手元にあります。担当の営業が会社を辞めたあと、しばらくしてS社からベンツの入金(月々のローン代+謝礼)があり、ローン代金も口座から引き落とされるようになりました」
S社からの月々の入金は8月以降停まっているが、Hさんの口座からは引き落としがおこなわれている。
なお、未納車のメルセデス・ベンツの方には保険が掛けられていなかった。存在しないクルマへの保険はさすがに掛けられなかったのだろう。