【詳細データテスト】ポールスター1 長いEV走行距離 高速域では快適だがやや非力 もっと軽ければ

公開 : 2020.10.31 18:50

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

はたして、この分野でポールスター1に予想するものはなんだろうか。トルクベクタリングを備えた先進的な電動化スポーツカーのハンドリングか、それともボルボのシャシーをベースとした、速度が高いときにベストなトラクションを得るには前輪に注意しなければならない2.3tの鈍足か。

そのどちらも、このクルマのキャラクターをある程度は正確に言い当てている。とはいえ、実際のところはどちらでもない。

スピードの乗ったコーナーでも落ち着いているが、抑えが効きすぎているようにも感じられた。それでも、110km以上をEV走行できることが魅力だというユーザーは多いだろう。
スピードの乗ったコーナーでも落ち着いているが、抑えが効きすぎているようにも感じられた。それでも、110km以上をEV走行できることが魅力だというユーザーは多いだろう。    JOHN BRADSHAW

たしかに、そのハンドリングはそこまで重いクルマのそれではない。少なくとも、これまで見慣れた重いクルマのそれではない。テストはオーリンズのダンパーを出荷状態のままで行った。コーナーへの進入やコーナリング中にはわずかにソフトでゆるいところもあったが、最新のGTカーにふさわしくないところは見られなかった。

ボディコントロールは上下左右ともおおむねかなり良好で、それゆえダンパーのアジャストを考えるのは、むしろ低速での乗り心地を改善したい場合になるだろう。それについては次項で詳しくお伝えしよう。ちなみに、リアの調整はホイールを外す必要がある。その作業は、リフトやピットがほしくなるところだ。

高速コーナーでは、じつに確実かつ小気味よくラインをトレースする。だが、それはトルクベクタリングを、単に安定感と正確さを保ち、狙った進路をきれいになぞるために使っているだけのように思える。

思いのままにパワーをかけても、オーバーステアもアンダーステアもない。横Gが高まっても、ボディのロールは抑えられている。速く走るのが楽なクルマではある。だが、バランスのよさやファンさは期待したほどではない。

ステアリングは軽く、ややぼんやりした従順なフィール。ボルボの速い仕様にみられるのと同じ傾向だ。それゆえ、上下方向の負荷も路面の感触も、興ざめするほどではないものの、もう少し伝えてくれたらよかったと思ってしまう。

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